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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

白内障

2018年4月19日放送2018年4月26日放送

2018年4月19日放送

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2018年4月26日放送

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症状と診断(放送内容 資料はこちら

白内障は眼の中の水晶体というカメラのレンズにあたる碁石のような形をした透明な組織が白く濁ってくる病気です。その多くは加齢によるものです。
70歳台では8割以上の方に、80歳台ではほぼすべての方に加齢性白内障がみられます。水晶体を構成するタンパク質の変性や、タンパク質と水の成分のバランスが崩れることが濁りの原因と考えられています。
その症状ですが、水晶体が徐々に濁ってくるといろいろな症状が起きてきます。

主なものは4つあります。
1に「眼のかすみ」。最も多い症状で、目の前に霧がかかったように物がかすんで見えます。
2に「視力低下」。適切な眼鏡をかけていても以前のようにはよく見えなく感じます。
3に「まぶしさ」。運転をなさる方に多い症状ですが、夕方以降、車の対向車のライトが異常にまぶしく感じるようになります。
そして最後に、4として「物が2重に見える」。白内障が進行すると水晶体にまだらな濁りが発生することがありますが、そこを通過する光が乱反射して物が2重、3重に見えるようになる方がおられます。このような症状は水晶体の濁りの部位が異なることにより現れ方が異なります。
診断ですが、白内障があるかどうか、どの部位が濁っているか、そして、目のかすみや視力低下などの症状はそのほかの眼の病気でも起きますので、診断には精密な眼の検査が必要となります。

主な検査は2つあります。1つは「細隙灯顕微鏡検査」といって、眼に細い光の束を当てて顕微鏡で拡大して眼球の表面や水晶体の濁りの位置や程度を観察する方法があります。
もう1つは「眼底検査」です。これは眼の奥の領域を特殊なレンズで診る検査で、倒像鏡という検査機器を用います。眼底検査は眼底出血、緑内障、糖尿病網膜症、高血圧、動脈硬化などがないかを調べることができます。
細隙灯顕微鏡検査、眼底検査はどちらも安全な検査です。眼のかすみ、視力低下など見え方の異常があれば、お近くの眼科専門医を受診されることをお薦めします。

治療法(放送内容 資料はこちら

白内障の治療法ですが、加齢による水晶体の濁りの進行を遅らせる点眼薬があります。ただ、これは根本的な治療法ではありませんが、毎日きちんと点眼する必要があります。
現在、白内障によって失われた視力を回復させるためには、濁った水晶体を取り除いて透明な人工のレンズを入れる「水晶体再建術」があります。
この手術は局所麻酔をしてから、黒目の部分、すなわち角膜の縁を3ミリほど切ります。そこから眼科の精密な器具をいれて水晶体の前面の膜を取り除いた後にさらに濁った水晶体の中身を超音波によって丁寧に砕きながら吸引します。そして、きれいになった水晶体にいよいよ眼内レンズを入れることになります。なぜ、約3ミリなどという小さな切開で眼内レンズが眼に入るのか、不思議に思われる方も多いと思いますが、眼内レンズは元々平らな状態ですが、柔軟性があるので折りたたむことができます。折りたたんだ状態で小さな切開から眼の中に挿入します。折りたたんだ眼内レンズは眼の中で平らな状態に戻ります。
現在、日本では1年間に90万件以上の眼内レンズ挿入術が各地の眼科施設で行われています。

眼内レンズにはさまざまな種類のものがあります。
主なのは単焦点レンズがあり、度数がレンズに1つ入っているタイプです。患者さんの生活に合わせてピントの合う距離を手術前に選ぶことができます。それ以外の距離の物をみる時には眼鏡を使用していただきます。
そのほかには、多焦点レンズといって遠近両用の眼鏡と同じ効果を持つレンズ、さらには、乱視を矯正できる眼内レンズもあります。いずれにしても、どのようなタイプの眼内レンズを選択するかは、手術をする眼科専門医とよくご相談いただきたいと思います。

眼がかすんできたな。手術しようかな。でも怖いな。とお悩みの方も多いと思いますが、このように水晶体再建術は合併症の少ない安全な手術です。白内障は慌てて手術をしなければならない手術ではありませんが、進み過ぎた時は手術が難しくなります。いつ手術なさるかは、眼の症状、ご年齢、お体全体の具合、そして、ご職業や生活状況なども考慮に入れて判断することになると思います。
お悩みの方はぜひお近くの眼科専門医の先生にご相談されるようお薦めします。

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