会員専用ページ会員専用ページのご案内
文字の大きさ

ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

スポーツ医学の昔と今と未来

2018年5月17日放送2018年5月24日放送

2018年5月17日放送

閉じる

2018年5月24日放送

閉じる

5月17日放送内容(放送内容 資料はこちら

本日は、スポーツ医学の昔と今と未来いうテーマでお話しいたします。

1.スポーツ医学の昔

かつては、医科学的な根拠に基づかないで経験的、伝統的にスポーツ指導が行われていました。
例えば、スポーツ中に水を飲んではいけない、という今では信じられないような事が行われていました。他には、うさぎとびや、膝股関節を伸ばしたままの腹筋トレーニングも当たり前のように行われていました。突き指をしたら指を引っ張れ、足関節捻挫は走って根性で治せ、また、手術したらスポーツ復帰はできないとも言われていました。

そんな未熟だったスポーツ医学ですが、その転機となったのは、1964年の東京オリンピックでしょう。
そこで日本人選手が活躍するためにはどうしたら良いか研究されて、その後、徐々に学生のクラブ活動や市民スポーツなどにも、正しいスポーツ医科学が浸透していったのだと思います。

2.スポーツ医学の今

日本のトップアスリートは国立スポーツ科学センターで検診や治療を受けています。また、国民の健康に対する意識の高まりとともに、スポーツへの関心が高まっていて、大学病院や一般病院で、スポーツ外来、スポーツ整形外科が増えているのが現状です。
手術は侵襲の少ない方法へと進化し、関節鏡視下手術が中心となり、皮膚切開を極力小さくした手術方法も開発されています。入院期間は短縮し、早期のスポーツ復帰が可能となっています。

また一方では、インターネットの普及による情報過多の時代であり、何が本当なのかわかりにくくなっています。
スポーツ外傷のうち骨折に関する正しい知識を紹介します。
一般的にレントゲン検査による骨折の診断率は80~90%であり、2回目、3回目のレントゲン検査で骨折が見つかることもあります。特に肋骨骨折、手の舟状骨骨折、第5趾末節骨骨折、疲労骨折、骨粗鬆症による椎体圧迫骨折、成長期の骨端線骨折(成長軟骨の骨折)などが代表例です。

5月24日放送内容(放送内容 資料はこちら

本日は前回の続きで、スポーツ医学の昔と今と未来をテーマにしたパート2として、よくある質問と、スポーツ医学の未来と皆さんの未来についてお話しします。

1.よくある質問
  • 膝に水がたまった時に抜くと癖になるから抜かない方が良い?
    これは間違いです。水がたまるほど悪い状態では、抜いてもまたたまってくることはありますが、抜くこと自体が関節に悪影響を及ぼすことはありません。
  • 老化による変形性関節症は治らない?
    加齢によってすり減ってしまった軟骨を元に戻したり、変形を元に戻すことはできませんが、治療することによって痛みなどの症状を和らげることは可能です。
  • 痛いところは冷やした方がいい、温めた方がいい?
    足関節捻挫などの急性のけがは、急性期(1~3日間)はアイシングで冷やして、回復期(慢性期)は温熱療法で温めます。投球障害肩などの慢性のけがは、練習前はウォームアップとして温熱療法、練習後はクールダウンとしてアイシングをします。
2.スポーツ医学の未来と皆さんの未来

スポーツ現場での中心(主人公)が選手であることは、昔も今も未来も変わりません。監督、コーチ、スポーツドクター、トレーナーなど様々なスタッフが選手を支えています。トップアスリートの場合は、2020年東京オリンピックがスポーツ医科学の再転換点でしょう。

次に、一般スポーツ愛好家、視聴者など皆さんの場合です。
人生100年時代の今後は、平均寿命と健康寿命の差(約10歳)を縮めて「ピンピンコロリ」が理想です。高齢者でも筋力・体力は改善することが医科学的に証明されています。有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など)によりメタボリックシンドロームもロコモティブシンドロームも予防できます。
人生100年時代に備え、ピンピンコロリが目標ですね。

みんなの健康ラジオ 放送一覧へ戻る