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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

腰部脊柱管狭窄症

2018年9月20日放送2018年9月27日放送

2018年9月20日放送

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2018年9月27日放送

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9月20日放送内容(放送内容 資料はこちら

腰部脊柱管狭窄症とは、腰の神経の通り道である脊柱管が、骨のとげ、椎間板膨隆、靭帯肥厚などの加齢性変化により狭くなることで、脊柱管の中にある神経が圧迫され、症状が生じた状態です。

症状としては、下肢の痛みやしびれがあります。
歩行中や長時間立っていると下肢の痛みやしびれが増強し、座って休むと症状が軽減することが典型的な症状です。腰痛はあってもなくてもいいとされています。

腰の神経は、本幹の馬のしっぽと書く“馬尾”と、枝分かれの“神経根”に分類されます。
圧迫される部位により、それぞれ症状が変わります。

本幹の馬尾の圧迫では、多くの場合では両下肢の後面のしびれが出ます。ももの裏、ふくらはぎ、足の裏という場所です。圧迫が強いと、排尿や排便障害、陰部の灼熱感なども起こります。

枝分かれの神経根の圧迫では、圧迫された神経の支配している部位の痛みやしびれが起きます。とくに第4.5腰椎神経根や第1仙椎神経根の圧迫が多いため、坐骨神経痛といわれる、おしりから下肢の外側に痛みやしびれがきます。重度になると足に力が入らなくなる運動麻痺がおこります。

診断は、主に問診と診察となりますが、画像としてはレントゲン、MRIなどが有用です。特にレントゲンでは骨の状態はわかりますが、神経や椎間板など柔らかい組織は映らないため、MRIを施行し、診断することが多いです。
問診や診察からわかる症状と、画像所見を合わせて、一致した場合に診断が確定しますが、一致しない場合は、他の原因を探します。

他の原因として、足のしびれをきたすものは、糖尿病などによる末梢神経障害、閉塞性動脈硬化症などによる血流障害、首の脊髄からのしびれなどがあります。特に歩行して症状の悪化するものに、血流障害による閉塞性動脈硬化症があります。腰部脊柱管狭窄症と似ているため、注意が必要です。
歩行して症状が悪化するのは同じですが、立ったままで改善するか、足の動脈が蝕知できるかなどで、区別することができます。

悪化すると壊死することもあるので、医療機関を受診することをお勧めします。

9月27日放送内容(放送内容 資料はこちら

腰部脊柱管狭窄症の治療は、薬、リハビリ、注射、手術治療に大別されます。

薬は、痛み止め、しびれの薬、血流改善の薬が使用されます。
痛み止めは以前よりも種類が多くなり、選択の幅が広がっております。1種類で効果がなくても、他の薬で効果がでることもあります。

リハビリは、機械をつかった物理療法や理学療法士による理学療法などあります。
理学療法と運動療法の組み合わせで、腰痛や下肢痛に効果があったという研究もあります。

注射は、トリガーポイント、硬膜外ブロック、神経根ブロックなどがあります。
どの注射をするかは、臨床症状によって変わってきますが、神経根型の場合は、硬膜外ブロックや神経根ブロック、馬尾型の場合は硬膜外ブロックが多く施行されています。
注射で劇的に改善する人も経験しますが、まったく効果のない人もおり、個人差が大きいと思います。

保存的治療で改善しない場合は手術になります。
急性馬尾症候群といわれる突然下肢痛やしびれが増強し、尿が出なくなると、緊急手術の適応になりますが、腰部脊柱管狭窄症では急性悪化することはまれなので、相対的手術適応になることが多いです。
患者さんの症状の困り具合で手術となりますが、生活上に支障が強く、100m以上の歩行が困難な場合や、神経根型でも筋力低下をきたした場合、馬尾型では排尿排便障害が悪化した場合などです。
手術は、神経の圧迫をとるということが基本ですが、椎間が不安定な場合や、すべりなどずれが生じている場合、脊椎の配列が悪い場合など、固定術が施行されることがあります。
どちらの手術をするかは、一長一短のため、主治医とよく相談してください。

手術して改善しやすい症状は、歩行や動きで変化する症状で、改善しにくい症状は安静時のしびれといわれています。筋力低下が続き、筋肉が萎縮しても治りにくいです。
手術はだれでもやりたくないものですが、重度の症状では、積極的に手術をしたほうがいい場合があります。

最後に、腰部脊柱管狭窄症の多くは手術をしないで改善することが多い疾患です。
しかし中には重度の症状もあるため、かかりつけの整形外科でご相談いただければ幸いです。

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