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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

のどの違和感、異物感

2018年10月4日放送2018年10月11日放送

2018年10月4日(木)放送

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2018年10月11日放送

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10月4日放送内容(放送内容 資料はこちら

耳鼻咽喉科には、のどが詰まった感じ、ひっかかった感じ、イガイガ感などの訴えは珍しくありません。受診される多くの方は「のどになにか出来ているのではないか?」「がんができているのではないか?」と心配されています。
通常、耳鼻咽喉科の診察で病変を認めない場合には、咽喉頭異常感症と診断されます。ただ、多くの原因がありますので慎重な診察、経過観察が必要です。
のどには、咽頭と喉頭があります。
のどの奥は自分では見えないため、気になりやすい部位だということが言えます。

のどの異常感の原因には、大きく3つに分けられます。
1)局所的要因、2)全身的要因、3)精神的要因です。
局所的要因が80%を占めるとされ、以前は慢性咽喉頭炎と慢性副鼻腔炎が多かったのですが、最近は食生活の変化で増えている胃食道逆流症が半数程度を占めています。Ⅰ型アレルギー疾患である喉頭アレルギーも15%程度を占めるようになっています。
慢性副鼻腔炎は、後鼻漏といって粘調な鼻汁がのどに流れ落ちることによって、異常感の原因になりやすい疾患です。甲状腺の疾患や頸椎の形態の異常が原因となることもあります。
我々耳鼻咽喉科医が最も注意している疾患は、腫瘍性病変で、特に咽頭がんと喉頭がんですが、異常感の原因が食道がんのこともあります。早期発見、早期治療につながるため注意深い診察を心がけています。

全身的要因は15%と言われ、鉄欠乏性貧血、口腔内乾燥、嚥下障害などがあげられます。精神的要因は5%で、うつ病や心身症、神経症などです。

医師から「異常ありません」と言われても、納得できずにいろいろな医師にかかる患者さんが多いのも、この症状の特徴です。医師と患者さんとの信頼関係が重要になります。

10月11日放送内容(放送内容 資料はこちら

診察では問診、視診、頸部触診と喉頭ファイバースコピーを行います。
必要であれば画像検査や血液検査を追加します。
鼻から入れる喉頭ファイバースコピーによる詳細な観察によって、多くの情報が得られます。
最近はモニターでファイバーの喉の所見を一緒にみて説明できる耳鼻科も増えています。実際にみてもらうことで安心感から症状が軽快することも少なくありません。

異常感の原因として疑われる所見を認めたら、まずその治療を行い、軽快しなければ他の原因を探していきます。
特に悪性疾患の除外は重要です。異常感を訴えて受診した1.5%位に悪性腫瘍が発見されたと報告されています。
徐々に増悪傾向があるとか、痛みを訴える時には要注意と言えます。耳鼻科のファイバースコピーで異常がなくても軽快しない時は内科で食道の精査も必要です。

喉頭がんも下咽頭がんも進行していた場合は、以前はのどを摘出する手術が一般的でしたが、最近では化学療法併用放射線治療も行われて、治療成績も向上しています。
病気の進み具合や合併症などで治療方針も変わりますが早期発見、早期治療が重要です。

胃食道逆流症が疑われる場合は胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の投与を行います。
また、脂肪分の多い食事や過食を避け、寝る前に食事を食べないなどのライフスタイルを直すことも重要です。

喉頭アレルギーが疑われる場合は、抗ヒスタミン薬が有効です。
鼻水がのどに落ちる後鼻漏を認める時は慢性副鼻腔炎の治療を行います。

のどは自分で見えない所なので、一度、気になってしまうと、雪だるま式にどんどん気持ちが大きくなってしまいます。耳鼻科医が診察時に最も大切にしていることは、よく説明をするということです。患者さんも説明を受けることで症状が軽減することも多く認められます。
1回の診察で終了するのではなく定期的な経過観察することも大切です。

のどの異常感を感じる方は早めに耳鼻咽喉科を受診してみてください。

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