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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

不眠症

2018年10月18日放送2018年10月25日放送

2018年10月18日(木)放送

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2018年10月25日放送

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不眠症の疾患と予防(放送内容 資料はこちら

今回は、「不眠症」の疾患についてお話しします。

日本人の成人の3~5人のうち1人が「よく眠れないと」感じています。

  • ベッドに入って寝つくまでに2時間近くかかってしまう。
  • 一旦寝ついても夜中に目が醒めやすく、何回も目が醒めてしまう。
  • 普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう。
  • 朝起きた時にぐっすり眠った感じがしない。

この様な症状が週に2回以上、かつ1ケ月間以上続き、苦痛を感じている、日中に眠くて仕事や日常生活へ支障をきたしているような場合には、不眠症が疑われます。

近年、高血圧、糖尿病といった生活習慣病やうつ病などの精神疾患と、不眠症の有無で様々な疾患の有病率へ影響を与えている事が示唆されています。
また、不眠症以外も含むすべての睡眠障害が誘発する交通事故の経済損失は2,413億円と試算されております。
このことからも、不眠症に対する対策は、社会に与える影響の面からも大切なことです。

不眠症の原因はさまざまです。
その一つとして考えられるのは、睡眠と覚醒のバランスが乱れていることにあります。
覚醒をつかさどる脳内のホルモンが寝ようと思っていても過剰に分泌されることで、睡眠へ移行することを妨げていると言われています。例えば寝る直前までスマートフォンなどを見ていると徐々に体内時計が狂っていき、長期間続けると不眠症のリスクが高まります。
この様な、生活習慣の見直しを行うことから始め、起床時刻を一定にし、規則正しい食事と、適度な運動を行い、睡眠と覚醒のリズムを整えることが不眠症の予防にもなります。

年齢のせいとあきらめずに、最近眠れないと感じたら気軽に近くの医師へ相談されることをおすすめします。

不眠症の治療(放送内容 資料はこちら

今回は、不眠症の治療についてお話します。

不眠症の治療においては、まず症状の把握を行い、治療の要否を判断します。
ここで、いきなり薬物療法は行いません。生活習慣の中で原因が明らかであれば、その生活習慣の見直しを行います。しかしながら、症状が強く出るようになってから医療機関に来られることが多く、しばしば薬物療法と同時進行となります。
また、他疾患によるものと判断されれば他疾患の治療も同時に行います。

次に、不眠症治療においては、薬物療法以外に認知行動療法がありますが、診療科を問わずに治療が可能な薬物療法を中心に話を進めます。

現在、医療機関で不眠症治療に使われる薬物は、作用機序で分類して3つあります。
新しい順にオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬、ベンゾジアゼピン受容体作動薬です。
市販薬にはアレルギー治療で使われる薬の眠気が出るという副作用を利用した薬剤がありますが、効果が直ぐに薄れてしまうこともあり、第一選択ではありません。

では、3つの薬剤の特徴です。

  • ベンゾジアゼピン受容体作動薬
    1950年代から使われ始め、現在に至ります。脳全体を鎮静させて眠りをもたらす薬剤です。
  • メラトニン受容体作動薬
    日本では2010年に発売されました。体内時計を介して眠りをもたらす薬剤です。
  • オレキシン受容体拮抗薬
    2014年から選択肢の一つに加わった、亢進状態の覚醒を抑えて眠りをもたらす薬剤です。

いずれにしても、はじめて睡眠薬を服用するとなると不安が付きまとうものです。
最終的には薬剤に頼らないで眠れることを念頭に、医師の指導を守れば安全に治療できます。
最近眠れないと感じたら気軽に医療機関への受診をおすすめします。

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