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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

補聴器を使った耳鳴りの最新治療

2017年11月30日放送2017年12月7日放送

2017年11月30日放送

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2017年12月7日放送

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11月30日放送内容(放送内容 資料はこちら

耳鳴りは「原因不明で治らない病気」と考えられてきました。耳鳴りで悩んでいる患者さんはもちろん、治療をする側の耳鼻咽喉科医でさえそのように考えている人は、現在でも少なくありません。
しかし研究の進歩により耳鳴りの原因が解明されてきました。そして原因に対する新しい治療も開発されつつあります。

音は耳の中に入ると鼓膜、中耳、内耳、聞こえの神経と伝わり、最終的には電気信号となって脳にまで届き、ここで初めて音として認識されます。つまり音は耳で聞いているのではなく、脳で聞いているのです。
一方、耳鳴り患者さんの9割に難聴があると言われており、この二つの関係は非常に深いものです。
脳は電気信号(音の刺激)が十分に届くことによって、安定した活動をしています。
難聴があると脳に届く電気信号が減ってしまうため、脳は不安定となり、活性化してしまいます。すると活性化した脳は勝手に電気信号を増幅し、その刺激が耳鳴りになっていると考えられています。

それではどうして人は耳鳴りが気になってしまい、辛く感じるのでしょうか?
これも脳と深い関係があります。
人間の脳は空調の音やBGMといった安全な音は意識に上らせずに無視するようにできていますが、サイレンや緊急地震速報など危険を知らせる音を聞くと、本能的にわざと意識に上らせようとします。そして危険を知らせる音が意識に上ると、わざと不安な気持ちやイライラした気持ちにさせて、危険を回避させるという回路を持っています。
耳鳴りは今まで鳴っていなかった音が急に鳴り始めたので、脳は危険な音と認識しており、わざと意識に上らせます。耳鳴りが気になり、辛く感じてしまう仕組みです。

12月7日放送内容(放送内容 資料はこちら

研究の進歩により、耳鳴りの原因が難聴であることがわかってきました。
難聴があると脳に届く音の刺激(電気信号)が減ってしまうため脳が活性化してしまい、耳鳴りが発生すると言われています。耳鳴りはあるが難聴の自覚がない人や耳鳴りのせいで聞こえないと思っている人でも聴力検査をすると難聴があることに気付き、また多くの人が難聴の音と近い音色の耳鳴りがしているのです。

今までは耳鳴りの根本的な治療は無く、ラジオや環境音のCD、特殊な機械を使った音(ノイズ)を常に聞くことによって耳鳴りをごまかし、日常生活での苦痛を軽減することが目的の音響療法が治療の中心でしたが、効果はまばらで不十分なものでした。
一方、最新の治療法として補聴器を使った耳鳴りの治療が注目を浴びております。
先ほど説明したように耳鳴りの原因は難聴であるため、補聴器を使って難聴の部分の音を補ってあげることで脳に届く音の刺激(電気信号)を増やすことになり、脳の活性が落ち着き、安定した活動に近づくことができます。すると耳鳴りが小さくなり、中には消えてしまう人もいます。
つまり耳鳴りがする難聴の状態の脳を、補聴器を使って正常の状態に戻す「リハビリ」のような治療と考えるとわかりやすいと思います。
リハビリには時間がかかりますし、辛いことも多いですが、「何とかして耳鳴りを治したい」という強い気持ちがある患者さんは治療効果が高いようです。
私たちの施設では3ヵ月かけて毎週通院していただき、補聴器を使って少しずつ脳をリハビリする治療を行っております。この治療により9割以上の人が改善したとの報告もあり、現在耳鳴りを治す最も効果的な治療と考えられています。

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