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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

補聴器を使った耳鳴りの最新治療

2017年12月14日放送2017年12月21日放送

2017年12月14日放送

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2017年12月21日放送

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12月14日放送内容(放送内容 資料はこちら

しんとう、とは強く揺することを言います。ぶつかったり、転んだりして頭部が急に動くと、頭蓋骨の中で脳脊髄液に浮かんでいる脳は揺れます。頭蓋骨は丸いので、回転力が加わる場合もあります。

頭部の怪我には3つのメカニズムがあり、直達外傷は他の部と同じ、ぶつけた部の頭蓋骨が折れたり、脳が傷みます。第二は慣性の法則で、頭が揺れたときに脳が留まろうとして頭蓋骨内面にぶつかる怪我です。第三が回転力の加わった加速度損傷で、脳振盪はこのタイプです。
重症では脳の血管が切れて出血したり、脳の中の繊維が裂けたりします。頭の重い乳幼児に対する、虐待での揺さぶりのように、頭をぶつけなくとも強い障害がおこります。

脳は柔らかく繊細な電気回路なので、こわれなくても機能に一時的な不具合を起こします。
脳振盪はほとんどが後遺症を残さずに治るのですが、最初にきちんと休ませないと症状が何ヶ月も長引くことがあります。また、短期間に衝撃を繰り返すと生命の危険もあります。反復した場合の後遺症は認知症や運動障害などがあり、モハメド・アリのオリンピックでの映像はパンチドランカー症候群でした。サッカーでは、小児のヘディングを禁止している国もあります。
脳振盪を起こさないように気をつけること、起こしたらきちんと治すこと、繰り返さないようにすることは、スポーツによる脳障害を防ぐために重要です。

脳振盪は一時的に気を失った場合だけではなく、脳の機能障害による症状全てを含みます。
頭が痛い、ぼーっとして受け答えがおかしい、動きが適切でないなど、いつもと違った状況になれば脳振盪です。記憶喪失もよくみられます。翌日になって、動くと気持ちが悪いなどの症状が出ることもあります。

次回は、脳振盪を起こしてしまったときの対応法をお話しします。

12月21日放送内容(放送内容 資料はこちら

まず、その場での対応として、正しい診断には、ポケットSCATのようなツールが役に立ちます。

脳振盪と診断されれば、とにかく休ませることが大切です。症状がなくなっても、その日の運動は禁止です。勉強もしない方が良いです。24時間は安静にし、症状が出なければ日常生活に戻ります。
運動はジョギング程度から始めて、徐々に強度を上げていくのが安全なやりかたです。調子が悪くなったら戻って様子を見ます。競技への復帰に関しては、日本ラグビー協会のホームページなどを参照してください。

ラグビーでは「魔法のやかん」で頭に水をかけ、そのまま試合をさせる治療法がありましたが、今は見られません。
スケートの羽生選手が練習で衝突し頭部を受傷、翌日のショートプログラムではジャンプの着地でバランスを崩し、何度も転んでいたのを覚えていますか?あれが脳振盪後の運動調節障害であり、棄権すべきでした。

頭部への衝撃が強かったときや、症状が強い、気を失ったときは、小さな出血の危険もあるので早めにCTやMRIの検査を受ける方が安全です。時間がたつと、小さな出血は判らなくなってしまいます。受診するのは大病院より検査のできる脳神経外科クリニックのほうが、症状が長引いた場合などの相談に便利です。

脳振盪を防ぐためには、水分補給も重要です。脱水になると脳は縮んで動きやすくなります。また、競技の種別では、格闘技はレベルを揃えた対戦とするなどそれぞれで注意点があります。
何よりも大切なことは、脳振盪が怖いものであると認識することです。
選手は休むことを恐れて怪我を隠しがちなものです。また、関係者も休ませることに消極的な傾向があります。大切な脳を守るために、脳振盪を疑い、疑われたら休むのが当然であり義務であるとの合意形成が望まれます。

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