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その1:医療崩壊は女性医師のせいではない?!!!

まず、私コユリは浜子先生に突撃取材をしました。浜子先生は大学病院の内科の臨床教授。臨床教授というからには病院で臨床もやり、若い人に教育もし、ご多忙なのでしょう。年は秘密だといっていたけど、やっぱ秘密にしておこう。関係悪くなるといけないし。

コユリ:浜子先生。このところ女性医師が医療崩壊の原因かという論調がありますがどうお考えですか?
(突撃といった理由はここにあります。まず、冷静な浜子先生を煽ってみて、どう出るか、先輩記者に教わった常套手段の一つです。)

浜子先生:女性医師はわが国の医療崩壊の救世主でこそあれ、原因ではありません。
(浜子先生、冷静だ!私の仮説は一気に崩されてしまった。しかし、ここからだ。コユリの腕の見せ所。)

コユリ:ほう、それはなぜ。原因でないにしろ、救世主とはまた、先生、大きく出ましたね。女性医師が増えつつあり、出産や育児というハンディを負っている女性に対する風当たりは必然的に強いように思いますが。

浜子先生:医療崩壊はいつごろからいわれ始めましたか?

コユリ:えーっと、この数年ですかね。

浜子先生:この数年で、女性医師は爆発的に増えたりしていますか?

コユリ:いえ。そういえば、女性医師は増えていますが、じりじりとであって、特別人口爆発はしていませんね。

浜子先生:そう、この数年で変わったことに目を向けないと、崩壊の原因に近づくことはできません。

コユリ:この数年で変わったこと?

浜子先生:そうですね。数年前さまざまな制度が変わりました。たとえば、研修医制度。マッチングによって、医学生は自分の好きなところを研修先として選べるようになりました。必然的に勉強がしやすいところ、先輩がたくさんいて教えてもらえるところ、患者さんのたくさんいるところを選ぶようになったわけです。交通の便がよくて、人口密度が高いところ。

コユリ:街ですね。

浜子先生:そうです。地方では研修医が集まらなかったり、都会でも大学病院にいた研修医が大きな街の病院を希望したりするようになって、大学を去る傾向が出てしまったのですよ。そのために若い先生がいなくなった大学病院はそれまで支えていた近隣の病院から、中堅を引き上げることにしたというのも、地方の医療崩壊の原因のひとつだといわれていますよ。

コユリ:そうなんですか。

浜子先生:厚生労働省によると、医師は1996年から10年間で3万3000人増加しました。 内訳は男性1万8000人、女性1万5000人と男女ほぼ等しい。女性医師は増えていますが男性医師も増えています。10年で男性医師と同じ数だけ女性医師の増えたことが医療崩壊を引き起こすと考える根拠はなんでしょうか。しかし一方、増えた女性医師数に大きく貢献しているのが30から39歳の女性医師6000人の増加ですが、これは出産・育児をひかえ、 勤務形態に悩む医師が増えることを意味します。この層が出産育児を迎える今、真剣に女性医師の働きやすさを考えることが、現在さまざまな制度や、社会意識の変化に伴って顕在化した医療崩壊を食い止める重要な方策なのです。つまり、

コユリ:つまり、女性医師は医療崩壊の救世主というわけですね。しかし、ある報告によると、男性医師の40%以上、しかも女性医師自身の30%以上が、医療崩壊の原因が女性医師の増加によると考えているそうです。

浜子先生:誘導されてしまいましたね。女性医師は増えているし、確かに、出産というハンディを持っています。産休の時にはいわゆる穴を開けるわけです。今までもそうでしたが、現在も開いた穴をその他の医師が埋めざるをえない、という目に見える状況がそこにある。また、女性医師自身も、腕力、体力のなさを引け目に感じているところに、産休で穴を開けることに対しては大変周囲に申し訳ない気持ちを持っている。そこにつけこまれたとさえいえますね、この論調は。

コユリ:はあ、確かに。女性医師の人口爆発があったわけじゃあないですものね。産休だって、今までの女性医師も取っていたんだし。

浜子先生:しかし、もしこのまま、穴を開けることに引け目を感じて退職してしまい、ポジションを他の人に譲って、一線から退いたままでいると、これは確かに医療崩壊に拍車をかける存在になってしまいます。

コユリ:では、どうしたらいいんですか?産休はともかく、育児休暇は法制化されて、他の職種ではみんなとる様になってきますよ。

浜子先生:それを、コユリ記者に取材してもらおうというのじゃあありませんか。

コユリ:はい!わかりました。

浜子先生:それではまず、東神奈江先生を紹介します。彼女はわが教室きっての美人女医です。しかも、常勤職で働き続けたやり手ですよ。

コユリ:わっかりましたぁー。ありがとうございます。

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