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その2:女性医師がフルタイムで働く場合の問題点 ―家事負担と仕事についての意識―

コユリ:はじめまして。神奈江先生。お忙しい中、ありがとうございます。先生は卒後15年ですね。ご結婚しておいでで、お子さんは?(本当に美人だわ。すらっとしていて、和服とか似合いそう。髪は上手な夜会巻き。いい髪留めを使っているのだろう。うまくまとまっているし、1日働いてきたというのに、乱れていない。)

神奈江先生:東でございます。はい、男の子が1人。小学校3年生です。

コユリ:ご家庭と両立しておられるとのことを伺いました。

神奈江先生:両立だなんておこがましいです、ふふふふふ。

コユリ:いえいえ、ずっと常勤医をされてきたと伺っています。そのうえ、当直も他の先生と同じにこなしていらっしゃると。

神奈江先生:まあ、たまたまです。そうせざるを得なかったっていうか。

コユリ:せざるを得ないとは?

神奈江先生:人手不足で、育児休暇などとるという雰囲気はなかったし。私が休暇をとればその分の当直を男の先生方が埋めざるを得ないですからね。私がいない分の補充がないのですから。当直の不足は大きいものです。しかも、その男の先生方にもご家庭があるのですし。

コユリ:はあ。しかし、お子さんはどうされたんですか?

神奈江先生:保育所を自分で探しました。病院にはありませんでしたし、常勤で復帰すれば、預かってくれるところもあったので。

コユリ:非常勤では預かってくれないのですか?

神奈江先生:そうですね。やはり、フルタイムで働いている人が優先されるのは当然ですし。

コユリ:はあ。しかし、先生の職業でフルタイムで働くとなると、お子さん連れでは大変ですね。ご主人がお手伝いを?

神奈江先生:いえ、うちの主人はそういったタイプではないので。

コユリ:そうなんですか。じゃあ、全部先生お一人で?

神奈江先生:まあ、そんなところですね。

コユリ:大変ですねえ。先生のお立場で何か、今後につながるお考えとかありますか?

神奈江先生:そうですね、お考えというほどのことはありませんが、3通りに分けてみました。
まず、主に女性医師が家事を負担して、男性は仕事に専念するべきという考え。女性医師の家事負担を軽減するため、そして女性医師の離職を減らすために、何らかの金銭的な保障を含めての援助が必要になります。
女性医師が家事育児、仕事もすべて抱え込んでがんばらざるを得ない状況は、簡単には変えられないと思います。そうした場合、シッター代金、炊事洗濯掃除 含めた家事代行サービス料金の援助があると使いやすいと思います。少なくとも、斡旋や割引制度があっても良いと思います。
第2には男性医師もできるだけの家事、育児参加をする、医局内でのワークシェアリングの制度を整えるという考え。30歳前後の男性医師の一部には、家事 育児への参加に対し協力的な男性医師も多く、世間では「イケダン」、いけてる旦那とも言うようですよ。かなり少数のようですが。女性医師が緊急で呼ばれた ら、残った男性のほうが育児、家事をする、という形も受け入れられるべきかなあと思います。うちはさしずめ「イケナイダン」ですね。まあ、おいといて。
3番目は女性医師は結婚、出産したら常勤職や仕事自体を辞めるという考え。若い世代の女性医師ほど、そう考えるようで、一部には、“女性医師28才定年説”があるそうです。個人的には、私立医大であっても高額な税金を使って医師を養成しているわけで、それを社会に還元する使命があると思うんですよね。税 金を使っている都合上、個人的な都合で医師を全く辞めてしまうことには、社会からの非難がおこりかねない。職場の環境を整えることも必要ですが、28才定 年説に関しては意識を変える必要もあります。
私自身は過去に家事代行サービスを利用していた時期があります。シルバー人材センターで週に二、三回 二時間でした。多くても月に5万円の負担で、掃除や洗濯物をたんすにしまうまでやってもらってました。子供が小さい時期にはお勧めです。子供と過ごす時間が作れます。

コユリ:そうなんですか。(細身の体に似合わせない、すっごい使命感。感服!
それでは次回、具体的な問題点に踏み込んだ神奈江先生のインタビューを続けます。乞う、ご期待!)

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