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その7:若い女性医師の将来像、いろいろ

コユリ:まだかなあ。忙しいんだろうな。今度の先生もマチ先生のようなクールな人かなあ。
(約束の時間を10分過ぎて石川マチ先生が部屋に走りこんだ。若い女性で、色が白くて、ふっくらしていて、お稚児さんの人形のようだ。)

マチ先生:すみませーん。病状説明を患者さんのご家族が希望されて。ご家族が来るのを待っていたら、遅くなってしまって、本当に申し訳ありませーん。

コユリ:ぜんぜん、気になさらないでくださいよ。先生はお忙しいんだから。

マチ先生:すみません。下っ端はやることが多くて。

コユリ:若い先生はお忙しいですね。

マチ先生:いえ、いえ、上の先生も忙しいんですよ。わからない私たちを指導しなければなりませんからね。

コユリ:そうなんですか。それぞれのお仕事でお忙しいというわけですね。

マチ先生:そうです。(そういって、マチ先生は私の前に座り、ペットボトルのお茶を私に差し出した。)
どうぞ。粗茶ですが。

コユリ:はあ、そんなことは。先生わざわざ私にお茶を買ってきてくださったのですか?

マチ先生:わざわざではありません。私ものどが渇いていたので。どうぞ、ご遠慮なく。(マチ先生は自分の分のペットボトルを開けて、ぐびっと一口飲んでから、私にも飲むように手で勧めた。気を使う人なんだ。)

コユリ:先生はお人形のような方ですね。

マチ先生:はあ、お人形。木目込み人形ですか。よく言われます。

コユリ:あ、もしかしてお嫌なんですか?あの、お雛様のような。

マチ先生:ありがとうございます。お気遣い。

コユリ:い、いえ、いえ。さて、先生は女性医師としてどんな将来像を描いていらっしゃいますか?

マチ先生:はい、今朝ほど浜子先生からお話がありました、今後の人生設計についてですね。
現在卒後4年目です。独身と結婚した場合と状況は変わってくるかと思いますので分けてお話いたします。
まず、今後も独身の場合ですが、卒後7年目に神経内科専門医を取得します。卒後10年目までは研究したい内容に出会い機会があれば大学院進学を考えています。そして定年まで、市中病院・大学病院に勤務しつつ、臨床全般に携わり、臨床研究・論文発表などしたいと思います。この場合、通して、常勤・当直もfullの勤務は可能かと思います。定年後は、往診医として在宅患者さんを診られたらと考えています。自分自身で薬の名前が出てこなくなったなどの自覚、整形外科的疾患などでの歩行困難などあった時点でリタイアさせていただきます。

コユリ:はい。では、ご結婚されるばあい。

マチ先生:はい、結婚する場合でございますが、卒後7年目でやはり神経内科専門医取得したいと思います。めでたく取得した後、卒後8年目で結婚。卒後9年目には急ぎ第一子出産。それまでは常勤医として当直なども可能かと思います。卒後11年目には第二子出産したいと思います。その後、卒後15年目くらいまでは週2~3回のアルバイト勤務となってしまうのが現実的なのかと考えています。卒後15年目には子どもも大きくなっているはずですから、ブランクを埋めるべく、市中病院の内科勤務、常勤医として猛烈に働くつもりでございます。子育ては、近くに住む姉に助けを借りつつやっていきたいと存じます。その後は、市中病院勤務もしくは、ひとりで一人分の仕事ができないとなった場合、同様の家庭環境の内科女医と開業。2~3人の交代制で行きたいと思います。

コユリ:はー。恐れ入りました。先の先まで、見通された人生設計、は、はー。しかも、新しい勤務医形態までお考え。開業を交代制で行うことによる完全ワークシェア。

マチ先生:はい。普段はこのようなことを具体的に考えることはあまり多くないのですが、いい機会でした。ご参考になるかどうか分かりませんが、恥ずかしながらお話いたしました。よろしくお願いいたします。

コユリ:は、はーっ。(感服。マチ先生は、お茶を飲み干して部屋を出た。またお仕事を遅くまでするのだろう。)

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