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私の目指している医療は


サードアイ眼科 
古野久美子 先生

 今回、原稿のご依頼をいただき、女医として出産や子育ての苦労をしていない私で良いのか迷いましたが、自分を振り返り見直す良い機会と考え出筆いたしました。 昭和55年北里大学を卒業し、全身を診察できる科に所属したかったのですが、何科に入局するか迷った末、縁あって5年生から学生研究(向野和雄先生)でお世話になった北里大学眼科(石川哲教授)に入局いたしました。4人の新入局員で私だけが女医であったため、新人時代は出向病院も含めて、当初は周りの看護師、視能訓練士など女性社会からなかなか受け入れられず、自分も女性なのにどうして?と思う事がいっぱいありました。それ故、新人の頃は自信もなく、人の目を気にして心はいつも隅に小さくなっていて、同僚の医師達とも交わる事なく、他から圧力をかけられることも屈する事もなくすごしていると、途中からどこの職場でも必ず自然に協力者(助っ人、生涯の友)が現れるようになり、いつのまにか前向きに考え、あまり気にしないようになりました。北里大学研修医、大学院の6年間は、ほとんど病理研究室をねぐらとし、東芝林間病院医長(5年間)出向は、周囲を振り回し振り回されながらも、気が小さく鈍感な私の心も患者様の痛みに共感できるようになり、この頃から女性の感性を持っていてよかったと思うようになりました。 


【サードアイ眼科スタッフと阿曽香子先生】(左から2番目)
そんな私に第一の転機が来たのは、平成5年から神奈川県立がんセンターへ出向し(7年間)眼科を開設した時でした。眼科のみでなく全身のがん医療に関心を持つようになり、様々ながん治療や患者さんへの扱いをみて、これは本来の人間の受ける医療ではないと感じ、患者さんと疾患に寄り添える医療を模索するようになりました。古典的な精神世界のヒーラーであるアメリカのバーバラブレナンの『光の手』*1)という著書に出会い、約4年間渡米を繰り返し、ヒーリングスクールを卒業し、肉体だけの治療ではない精神世界や魂の世界との融合を学び、平成12年、南区井土ケ谷に自分の納得のいく医療をやりたいとの想いでサードアイ眼科を開業しました。患者さんの目線で何が必要とされているのか。『サードアイ』には心(魂)をみつめる第3の目という意味を込めました。肉体だけのガチガチの現代医学を学んだ自分にとって、新しい世界が開け、さらに以前から東洋医学には関心がありましたので、中医学や漢方、Oリングテスト、気診等も学びました。それぞれはすばらしいものではありましたが、現実の疾患とは結びつけられず、開業しながらどう眼科の治療に取り入れるかと悶々としておりました。

 平成25年12月主人(鍼灸、マッサージ師)より良導絡自律神経学会を紹介され、橋口修(*2)先生に鍼治療(自律神経調整法)を教わり、鍼をうち経絡を開放する事によって、精神世界と肉体の融合という目的がつながり、私の求めていた医療の第二の転機となりました。現在は眼科診療のかたわら、クリニックの近くにある夫の鍼灸院で、眼精疲労(眼・精神疲労)の鍼治療、のみでなく全身の痛みの治療を実践しております。2年間で延べ910名の患者様に施行しましたが、この療法は痛みを解除する効果や自律神経調整には好評で、良導絡の鍼は細く痛みは少なく清潔で安全、手技は決して難しくなく、注射をすることのできる医師ならその効果も興味のあるところだと思います。例えば、眼科の眼精疲労でいえば、まず屈折調節の訴えには適正眼鏡等、またドライアイには点眼薬の処方も大事ですが、患者様のニーズで壁にぶつかる時は、鍼療法はもう一手の治療の手段になります。いま研究を進めている事は、すべての経絡が眼部周囲につながっている事が経験上わかり、眼の鍼治療によって全身を調整し改善する方法を前述の橋口先生と模索しております。またこの療法は、自分の内部(中心)のエネルギー(気)も活性化する作用もあり、自分自身も元気になりながら、患者様の訴えに寄り添えるようになります。いつもフレッシュな気持ちで、新しい事を学び、実践する事にはワクワクするような感触があります。家族、クリニックの従業員、多くの先生方など周囲の助けを受けながら、自分流に我が儘を貫きながら楽しんで診療している毎日です。

【実際に眼精疲労の鍼治療をしているところ】


参考著書
*1) バーバラ・アン・ブレナン(三村寛子・加納眞士訳):光の手?自己変革への旅(上)(下).河出書房新社.1995年.
*2) 橋口修:良導絡自律神経の基礎知識.環健出版社. 2009年.