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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

骨粗しょう症/五十肩

2017年5月4日放送2017年5月11日放送

2017年5月4日放送

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2017年5月11日放送

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骨粗しょう症(放送内容 資料はこちら

最近、急激に重要視されている骨粗しょう症についてです。

そもそも骨粗しょう症とは、何かと言いますと、骨が弱くなって骨折の危険性が増大する病気のことを言います。骨折の危険性が増大すると言うのは、ただ骨折をする、と言うことではなく、大腿骨頸部や腰椎圧迫骨折を起こすことで、歩行ができなくなるだけでなく、身体機能の低下や、肺炎などの内臓機能の低下を起こし重症では寝たきりとなり、命に関わる重要な疾患です。そのため骨粗しょう症の予防が非常に重要で、予防することで、健康寿命を伸ばすということになります。日々診療していると、患者さんは「寝たきりだけにはなりたくない」、「寝たきりになるのであればサクッと最期を迎えたい」ということを良く聞きますが、高血圧の薬や血液をサラサラにする薬は必死で飲むのに骨粗しょう症の治療をしていない、というのは我々からすると言っていることと治療していることに差があるな、と感じています。

骨粗しょう症は診断が重要で、我が国では腰椎、または大腿骨で測定を行い、22歳から44歳の健康な女性の平均値を100として、70以下または骨折の既往がある80以下を骨粗しょう症と定義しています。
また、リスクファクターとしては、骨折の既往がある方、喫煙や飲酒、ステロイド薬の使用、骨折の家族歴、運動不足、さらに生活習慣病が挙げられています。

現在、FRAXと呼ばれる世界的な骨折リスク評価ツールがインターネットですぐに検索できるため、皆さん自分がどれだけ骨折リスクがあるか、をやってみるのも良いかもしれません。

それでは、どれくらいの患者さんが骨粗しょう症なのか、と言いますと、日本で骨粗しょう症と診断される人は、1300万人と言われています。そして、女性は男性の3倍多い、とされています。

骨粗しょう症は、健康も入れると5つのステージに別れ、それと共に治療としても一次予防から三次予防に分かれており、各ステージに応じて予防の方法も変わってきます。ここで重要なことは、何よりも早期発見が大事だ、ということになります。

そのため、骨粗しょう症の評価が非常に重要なため、腰椎や大腿骨での正確な骨密度検診を行うことが最初の一歩となります。

治療としては、骨粗しょう症治療の3本柱は、「運動」「栄養」「薬」で、これに理学療法が含まれるとされています。
そのため薬を飲んでいるから安心、ということではなく、この4本柱をしっかり評価し行うことが重要です。

まとめですが、骨粗しょう症患者は近年劇的に増加しており、正しい検査、評価が重要です。また骨粗しょう症の4柱をバランスよく行いましょう。

正しく骨粗しょう症予防を行い、将来の寝たきりを予防していきましょう。

五十肩とは?(放送内容 資料はこちら

みなさん、今回のテーマは五十肩です。

よく聞く病名だと思いますが、少し考えてみると変な病名ですよね。50歳の肩と言う意味ですから、、、
ちなみに、五十肩とは、江戸時代から使われている病名で、昔は50歳くらいになると肩が痛くなるものを全て五十肩と読んでいました。
また、「四十肩」とは何ですか?と聞かれますが、実は全く同じことです。

そもそも肩はどういう関節かと言うと、人間の中で最大の可動域を持つ関節で、受け皿側が小さく、骨頭と呼ばれる丸い部分が大きいため、非常に不安定な関節です。
これを、間接包と言われるものや、周りの軟部組織で支えて安定させるわけですから、軟部組織に炎症や損傷が起こりやすく可動域制限が起こりやすいわけです。そんな肩関節は、現在でもわからないことが多いですが、最近の技術の進歩によって徐々に原因がわかるものも出てきました。

広い意味での五十肩は、すべて痛くなるものを指して言っていたわけですが、鍵盤断裂や石灰沈着性鍵炎、変形性肩関節症など、わかっている疾患を除外しそれ以外の原因がわからないものを五十肩と言い、医学的な病名では肩関節周囲炎と言います。
五十肩は「そのうち良くなる」と言われますが、正しい治療を行わないと、7年後に約半数が何らかの症状が残る、とも言われています。
一般的に、経過は、急性期、慢性期、回復期の3つに分けられ、その経過は1年程度と言われています。しかし、慢性期は拘縮が起きやすくなっており、正しい治療を行わないと、痛みは治ったとしても肩が上がらないなどの症状が残ってしまい、それがまた痛みの原因になったりもします。

治療の目標としては、まず第一に痛みを取ること、次に拘縮と言われる可動域制限を残さないこと、この二つに尽きます。
痛みをとる治療として内服や、湿布などの外用、関節注射などがあり、拘縮の予防として運動療法や理学療法、体操などがあります。
正しい治療を行わないと、痛みも取れず、可動域制限を残す結果にもなりかねないため、やはりただ「待つ」のではなく、正しい診断、正しい治療、意識して一度精密検査を病院やクリニックで行うことが重要です。

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