ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
9月7日放送内容 資料はこちら/9月14日放送内容 資料はこちら
受動喫煙防止の法制化が検討されています。厚労省の「健康増進法改正案」は評価される内容ですが、未成年者についての配慮がありません。自らの意思で受動喫煙回避が困難であるため、子どもたちを守らなければいけません。
問題点とその対策
- 受動喫煙の害が明白であるにも関わらず社会的な予防対応ができていません。日本では依然として出産、子育て世代の喫煙率が高いです。
対策:受動喫煙の害について、正しい知識を社会啓発する必要があります。 - 日本は受動喫煙について、規制力の無い「健康増進法」でしか対応していません。特に、子どもを取り巻く受動喫煙環境の法的整備がありません。日本も批准しているFCTC(たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約)の締約国会議での日本の評価は最低です。
対策:この条約の目的「タバコの破壊的な影響から現在および将来の世代を守ること」を遵守するために、受動喫煙を防止するための立法措置として、責任と罰則を盛り込まねばなりません。 - JTは盛んに吸う人と吸わない人に分けて、マナーの問題にしています。国民はタバコに対する認識を著しく歪められています。また、未だにタバコを嗜好品と考えている風潮も残っています。喫煙行為は医学的には依存性薬物であるニコチン摂取をしていることに過ぎません。好きか嫌いかの対立構造ではタバコ問題は解決しないのです。
対策:タバコは非喫煙者にまで健康被害が及ぶということがもっとも重要。迷惑行為にとどまらず、加害行為となります。すなわち“マナー”では不足、罰則規定のあるルールで対処すべきです。 - 日本の特殊なタバコ事情の特徴として、JTと財務省そしてタバコ耕作者間などに利権の構図がある上に、たばこ事業法、JT法等タバコを保護する法律があります。人命よりも経済を優先、利権を守ろうとするものです。
対策:こうした中、FCTCに批准して神奈川県は国に先んじて、「受動喫煙防止条例」を2010年4月に制定しました。国はタバコを保護する法律を廃棄するとともにオリンピック・パラリンピック開催を好機会として捉え、受動喫煙防止法の立法が必要です。タバコの有害性だけではなく、タバコ利権や法律の問題にも目を向け、国民全てが正しい判断をできるようにしなければなりません。
新しい問題
PM2.5:空中に浮遊する粒子状物質です。草木などの植物、化石燃料などが燃えると発生します。タバコから発生する煙も典型的なPM2.5です。日本の外出基準は70μg/㎥以下であるが、乗用車の中での喫煙は窓を開放していても1000㎍/㎥を超えます!
サードハンドスモーク:タバコの有害物質が衣類、床、壁、カーテン、家具などに付着し、第三者がそれにさらされること。発がん性物質も発生!副流煙の様に拡散して希釈することはなく、有害物質が長期に停留します。自宅は言うまでもなく、飲食店、ホテルなど屋内空間では全面禁煙にするしかありません。
やはり屋内では禁煙!
車内や喫煙室などの狭い空間では有害物が高濃度になるので、危険性が高くなります。1992年に航空機内における禁煙が実現し、諸外国では国全体あるいは州単位で、プライベート空間であっても未成年者が同乗する自動車内での喫煙が法律で禁止されています。しかし日本では、チャイルドシートやシートベルトを子どもに装着する義務を運転者に課していながら、車内禁煙は義務化されていません。
2000年5月24日「児童虐待の防止等に関する法律」の第1条に照らせば、受動喫煙はまさに児童に危害を与える虐待に違いありません。