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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

喫煙の怖さ(ニコチン依存症のワナ)/他人のタバコの煙でがんになる(受動喫煙の怖さ)

2018年1月25日放送2018年2月1日放送

2018年1月25日放送

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2018年2月1日放送

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やめられない止まらない喫煙の恐さ(ニコチン依存症のワナ)(放送内容 資料はこちら

私が本当にタバコの恐ろしさを知ったのは、医学部1年生の実習で、バージャー病という病気を知った時です。喫煙がほぼ100%の原因で、手足の末梢が血管炎を起こし、手指、趾の末端が腐ってしまう病気です。
禁煙が唯一の治療でした。しかし、その患者さんは、病院内で隠れて喫煙し、さらに病状を悪化させていました。
タバコに依存性があることは知っていましたが、指が腐り切除されても喫煙をやめられないことにショックを受けました。それ以降、タバコの害に注目するようになりました。

中学生・高校生が学校内で喫煙が見つかり、停学処分になることがあります。喫煙する学生自身は、校内で喫煙することがいけないことだと認識しています。
しかし、タバコのニコチン依存症により、血中ニコチン濃度が低下しタバコを吸いたくなり校内で喫煙してしまうのです。学校側は、停学にするだけでなく、禁煙外来に受診させ、喫煙習慣をやめさせることが重要です。

海外では、小学生の頃よりタバコの害を教育プログラムに入れて、タバコを喫煙する前に知識をつけることに重点を置いています。
タバコにはコカイン・ヘロインと同等の依存性がありますが、短期毒性が強く、世界中に広まってしまいました。
その科学研究がすすみ、様々ながん、動脈硬化疾患(脳卒中・心筋梗塞・慢性動脈梗塞症など)引き起こすことがわかりました。WHOは世界中からタバコの健康被害をなくすため、FCTC(たばこ規制枠組条約)を作りました。
主に子どもたちが喫煙しない様に、タバコの広告の禁止、対面販売の実施、タバコの値段をあげ、簡単に買えない様にしています。

日本では、あまり知られていないかもしれませんが、FCTCに日本も批准しており、本来なら2010年までに室内完全禁煙が義務化されているはずでした。

タバコをやめたい方が多数いらっしゃいます。
ニコチンパッチ・ニコチンガムなどでニコチン濃度を徐々に減量する方法や、脳にあるニコチン受容体にチャンピックスをつけてやめる方法などがあります。一度禁煙外来を受診されてみてはいかがでしょうか。

他人のタバコの煙でがんになる(受動喫煙の恐さ)(放送内容 資料はこちら

タバコには、約4000種類の化学物質、200種類の有害物質、約50種類の発がん物質が含まれています。葉タバコを口の中で噛む、噛みタバコというものがあり、口腔内で様々ながんが発生することがわかっています。
一般の紙タバコに火を付け、燃焼した煙を吸引して肺に入れるもので、肺は有害物質の吸収が早く、喫煙して2~3分でイライラなどニコチン切れの症状は改善します。
これは、脳にあるニコチン受容体に速やかに到達し、ドーパミンという快楽物質を放出するためです。しかし、ニコチンで強制的にドーパミンを放出しているため、すぐニコチン切れとなり、またタバコを吸いたくなるのです。

一方本人への健康被害にとどまらず、他人に健康被害を与えることが世界中で問題となっています。
受動喫煙による健康被害です。
例えば、ヘビースモーカーのご主人がいれば、受動喫煙によって奥様が肺がんの危険にさらされます。
タバコの煙は、喫煙者本人が直接吸い込む主流煙、喫煙者が吐き出す煙、火のついたタバコの先から出る副流煙に分けられます。副流煙は、完全燃焼しないため、有害物質や肺がん物質が数倍多く含まれます。数年前、中国よりPM2.5が日本へ流れてきて問題になりましたが、タバコの煙にはそれが大量に含まれています。

居酒屋や、自動車内の喫煙により、中国の北京市よりひどい状況となってしまうのです。
受動喫煙の存在する場所として、自宅・自動車内・公共施設・職場・飲食店などが挙げられます。
WHO・IOCは、オリンピック開催国はタバコの受動喫煙をなくす様に厳しく指導しています。
海外では、受動喫煙を放置したままでいると、従業員から会社に対し、健康被害に対する賠償責任が求められることもあります。国際線旅客機、バー、レストランなどの飲食店が禁煙になっているのもそのためです。
タバコを止めたい方は、ぜひ一度、禁煙外来を受診してください。

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