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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

加熱式タバコなら大丈夫?変形タバコの実態/受動喫煙

2018年4月5日放送2018年4月12日放送

2018年4月5日放送

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加熱式タバコなら大丈夫?変形タバコの実態

加熱式タバコ(主にiQOS)が市場に出回り、この製品に手を出している小児科医もいます。

フィリップモリス(PM)は将来的に紙巻きタバコを止めて、iQOSに移行することを表明しています。JTとブリティッシュアメリカンタバコはiQOSに追随してそれぞれプルーム(Ploom TECH)、gloを発表しています。

これらは正式には非燃焼・加熱式タバコ(Heat-not-Burn Tobacco Products)と言います。代表的なiQOSは粉末にした葉タバコを『チャンバー』に詰め、そこに加熱ブレードを挿入。電気式で約300度に加熱して蒸気を発生させます。蒸気ではニコチンを肺の深部に送りにくいので運び屋として、グリセロールやプロピレングリコールなどの薬品を利用する構造に作られています。

タバコメーカーは加熱式タバコが、燃焼ではなく加熱で煙が出ず、蒸気(Vapor)なので主流煙の有害物質が低減され、副流煙を減少することで周辺環境の汚染が低減できるとしています。
しかし「有害物質や汚染が低減」ということは、すなわち現行の紙巻きタバコは有害であり、「受動喫煙も有害」であることをタバコ会社が認めているわけです。

加熱式タバコのデータは殆どタバコ産業からのもので、中立的な研究機関からのデータの集積はまだ少ないのですが、ある報告ではニコチンは84%、一部の発がん性物質は7~8割にしか減少しておらず、その他、有害物質も相当量含んでいると報告されています。そして「煙の定義をうやむやにして屋内禁煙規制を逃れようとしており、そもそも受動喫煙の害に安全閾値は存在せず、加熱式タバコも同様に規制されるべきである!としています。

さらに産業医大の大和浩教授の報告ではiQOSの呼出されたエアロゾルを口元で測定したところPM2.5が2000μg/㎥!に達していました。(日本の外出基準は70μg/㎥以下)しかも特有の異臭があります。

これら製品はENDS(Electronic Nicotine Delivery System)として纏められているため、ニコチン供給装置であることには変わりがないのです。

なんと!iQOSのチラシに「健康リスクを軽減させる一番の方法は紙巻きタバコもiQOSも両方やめることです」と書いてあります!

受動喫煙は子どもへの虐待!

平成29年10月13日に「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が公布されました。
受動喫煙による健康影響が明白になっていますが、とりわけ子どもについては、自らの意思で受動喫煙を避けることが困難であり、保護の必要性が高いですね。子どもの生命及び健康を受動喫煙の悪影響から保護するため、いかなる場所においても、子どもに受動喫煙をさせることのないよう努めるとする条例が平成30年4月1日から施行されました。

条例では「子どもと同室の空間で喫煙をしてはならない」、「家庭等の外においても、受動喫煙を防止する措置が講じられていない施設等に、子どもを立ち入らせてはならない」そして「子どもが同乗している自動車内において、喫煙をしてはならない」としています。

我が国では出産・子育て世代の喫煙率が高い訳で、最も長い時間を過ごす家庭内での受動喫煙から子どもを守らねばなりません。しかし、我が国は受動喫煙について、努力義務で罰則のない「健康増進法」でしか対応していません。そしてこの状況で、政府が提案している「健康増進法改正案(自民党案)」はとても本気で受動喫煙を防止する姿勢がない内容です。ましてや未成年者についての配慮は全くありません。

日本も批准しているFCTC(たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約)では受動喫煙を防止するための立法措置として、責任と罰則を盛り込むようにとしていますが、完全に条例違反です。

今は努力義務であるものの、東京都が子どもに特化した受動喫煙から守るための条例を制定したことは画期的なことです。

タバコは非喫煙者にまで健康被害が及ぶことが最も重要なことで、迷惑行為にとどまらず、加害行為です。すなわちマナーでは不足で、罰則のあるルールで対処すべきです。

さらに日本のタバコ事情の特徴として、タバコ産業と財務省そしてタバコ耕作者等に利権の構図がある上に、たばこ事業法等タバコを保護する法律があります。人命よりも経済を優先、利権を守ろうとするものです。国はタバコを保護する法律を廃棄することと共に、東京で開催するオリンピック・パラリンピックを良い機会として捉え、罰則規定のある受動喫煙防止法の立法が必要です。タバコの有害性だけではなく、タバコ利権や法律の問題にも目を向け、国民が正しい判断をできるようにしなければなりません。

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