会員専用ページ会員専用ページのご案内
文字の大きさ

ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

血尿

2018年11月1日放送2018年11月8日放送

2018年11月1日(木)放送

閉じる

2018年11月8日放送

閉じる

11月1日放送内容(放送内容 資料はこちら

今回のテーマ、血尿について、お話しします。

血尿には大きく分けて、見た目ではわからない顕微鏡的血尿と見た目ではっきりわかる肉眼的血尿とがあります。

顕微鏡的血尿は自覚症状がないので、チャンス血尿として、偶然健診などで発見されます。
臨床的に問題となる顕微鏡的血尿は、顕微鏡で400倍に拡大した視野で毎視野に平均5個以上の赤血球を認める場合を有意な顕微鏡的血尿として、判定されます。よって、毎視野4個以下の赤血球は、臨床的には異常なしと判定されます。

さらに、血尿の発生母地として、大きく糸球体性と、非糸球体性に分かれます。
発生母地によって、疾患が大きくことなるので、非常に重要になります。

糸球体性とは、腎実質の糸球体由来の血尿という意味で、顕微鏡レベルでは変形赤血球として確認され、糸球体腎炎に代表される、糸球体に抗体や補体が沈着して、免疫反応を起こして発症する血尿を指し、主に腎機能障害に大きく関連します。特にたんぱく尿を伴う糸球体性顕微鏡的血尿の場合、将来腎不全に移行するリスクをはらんでいることがあるため、要注意です。臨床的には腎臓内科で取り扱うことの多い疾患がほとんどです。

また、非糸球体性とは糸球体を通過しない、すなわち、尿路由来の血尿を意味します。顕微鏡レベルでは、均一な赤血球として確認されます。良性疾患としては尿路結石、悪性疾患としては尿路上皮がんなど、臨床的には泌尿器科で取り扱う疾患がほとんどです。

明らかに肉眼ではっきりとわかる血尿は、尿路由来の無症候性肉眼的血尿(痛みや、違和感を伴わない視覚的に把握できる血尿)を指しており、小児や25歳以下の若年者を除くと大部分が泌尿器科疾患です。

11月8日放送内容(放送内容 資料はこちら

血尿を引き起こす疾患と、検査、診断、治療についてお話しします。

前回お話しした通り、まず、顕微鏡レベルで糸球体性か非糸球体性かを鑑別し、糸球体性なら腎臓内科疾患を視野に入れて、たんぱく尿や抗体、補体、血液生化学検査を行い、所見があれば腎生検を行い確定診断に至ります。
糸球体腎炎などの診断がなされた場合、病期にもよりますが、扁桃摘出や、ステロイド療法、免疫抑制剤、降圧剤による糸球体内圧を下げる治療や抗血小板薬、抗凝固剤の使用がなされます。

また、非糸球体性なら泌尿器科疾患を視野に入れて、超音波、尿細胞診、膀胱鏡を行い、腎臓、尿管を含めた上部尿路精査には、造影CTが必須となります。造影剤アレルギーのある方には、MRウログラフィーや、逆行性尿路造影で代替します。

診断の結果、尿路結石なら体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や、経尿道的結石破砕術(TUL)を行います。
また、腎がんなら腎摘術、腎盂および尿管がんなら腎尿管全摘術を行います。膀胱がんなら、早期の場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)、浸潤がん(または進行がん)の場合は膀胱全摘術および尿路変更術を行います。

肉眼的血尿の場合はほぼ、非糸球体性の血尿、すなわち尿路由来の血尿であるため、診断、治療は非糸球体性顕微鏡的血尿とほぼ同じ内容になります。
稀な疾患としては、腎梗塞や、腎動静脈奇形、出血性膀胱炎など、悪性腫瘍でなくとも時に大量の肉眼的血尿を発症し、貧血から輸血に至るケースもあります。肉眼的血尿、侮るべからずです。

あらゆる血尿精査を施行しても、血尿の原因がつかめないものを特発性腎出血と呼んでいます。
尿路の微小血管の破綻などが主な原因と考えられています。

みんなの健康ラジオ 放送一覧へ戻る