ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
2024年3月14日放送(放送内容 資料はこちら)
スポーツには体の機能とともに、目の機能も大きく貢献していることは言うまでもありません。
人間は見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるの五感のうち、約80%の情報を目から取り入れていると言われています。目から入った情報は、神経を通って脳で処理され、それが体の動きに反映されます。つまり情報の入り口である目の機能は、スポーツにとってはとても大切です。
1回目の今回は、スポーツと目の機能についてお話しいたします。
スポーツに関係する目の機能には、静止視力、動体視力、眼球運動、両眼視機能、視野などがあります。
一般に眼科や健康診断で測定する、いわゆるCの字形の指標視力は「静止視力」といいます。(資料:静止視力検査)。一方、「動体視力」は動いている物体を視線を外さずに持続して識別する能力のことを言い、動いている指標が見えるかを調べます(資料:動体視力検査機器)。
この「動体視力」が測定できるのは、運転免許更新の際の高齢者講習会と、一部のスポーツ施設のみで、健康診断や眼科で測ることはありません。なぜ普段は測らないのかというと、「動体視力」には世界共通の基準がなく、判定が難しいからです。
視力が低下した場合、競技者は視力矯正をする必要があります。
現在、視力矯正が必要な競技者はほとんどがコンタクトレンズを使用しています。正しく使えば最も安全で、利便性も高い方法と言えます。その他に様々な視力矯正手術(資料:視力矯正手術)や、就寝時にコンタクトを装着するオルソケラトロジー(資料:オルソケラトロジー)がありますが、眼障害などデメリットなどの説明が疎かにならないよう注意が必要です。
そのために眼科の専門医に相談し、競技に合わせた矯正方法を選択することが大切です。
2024年3月21日放送(放送内容 資料はこちら)
2回目の今回は、スポーツで起きやすい目のケガについてお話しいたします。
平成26年度までの10年間の日本スポーツ振興センターの報告では、学校でのケガの原因は約40%がボールによるもので、その他に、他人との接触、転倒や落下などが続いています。部活動などの競技では野球が30%と最も多く、次いでサッカー、バスケットボールが続いています(資料:目の外傷の原因と競技別割合)。
目の障害で多いのは打撲による目の表面の直接的な障害ですが、ぶつけた衝撃により間接的に目の内部や目の周囲の骨まで障害される場合もあります。
直接的な障害は、黒目の表面である角膜の損傷、黒目のすぐ裏のスペースである前房への出血、瞳を形作っている虹彩が裂けたり、目の中のレンズである水晶体がはずれてしまうことなどがあります。(資料:目の直接的外傷)。
間接的な障害は、ぶつけた衝撃により目の奥の網膜に小さな穴が開き、そこからはがれてくる網膜剥離や、目の内部の出血、あるいは目を収めている頭蓋骨の眼の周囲の骨が割れてしまう眼窩底骨折などがあります。(資料:目の間接的外傷)。
【実際にぶつけてしまった時に確認するポイント】
- 眼鏡・コンタクトレンズが壊れたり割れたりしていないか
- 眼の痛み、異物感がないか
- 左右を比較するなどして、見え方の程度や視界の広さに変化はないか
- ものが二重に見えないか
- 傷の程度や涙目・目の表面の出血がないか、涙に血が混じっていないか
これらを確認したうえで、ぶつけた眼を決して圧迫しないようにして、なるべく早く眼科を受診することが大切です。
【目のケガを予防するために】
- 防護具を着用する
- 練習や試合中のルールをしっかり守る
- 用具や競技場所の整備を徹底する
- 競技する時間や気温など環境に配慮し、集中力が維持できるようにする
以上に気を付けて、スポーツを楽しみましょう。