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慢性前立腺炎

2025年1月2日放送2025年1月9日放送

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2025年1月2日放送

前立腺は男性がもつ器官で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲んでいます。クルミほどの大きさで、精液の一部を構成する分泌物を産生します。今回は慢性前立腺炎についてお話しします。

前立腺炎には急性と慢性のものがあります。急性の場合は、細菌性の炎症で、強い排尿障害や疼痛、発熱などを認め、抗生剤による治療を行います。
慢性前立腺炎は、前立腺に慢性的な炎症が生じる疾患で、原因や症状の多様性から、診断や治療が難しい場合が多く、生活の質を大きく損なうことがあります。男性の8%程度の方が前立腺炎の何らかの症状を有するという報告もあります。

細菌性と、非細菌性のタイプに分けられ、細菌性は尿道や膀胱から細菌が前立腺に侵入することで炎症が生じます。細菌が前立腺から完全に排除されず、繰り返し症状が現れます。
非細菌性は、前立腺そのものや周囲の組織に炎症があるものの、明確な感染源が見つからないタイプです。長時間の座位や疲労、睡眠不足、喫煙、冷え、飲酒、刺激物の摂取などが要因と言われています。

次に慢性前立腺炎の症状についてお話しします。
まず1つ目が下腹部や鼠径部、陰嚢と肛門の間の会陰部、陰茎、陰嚢などの持続的な痛みや不快感です。2つ目が排尿障害で、頻尿や排尿時の痛みや焼けるように熱い感じなどの症状を認めます。尿が完全に出し切れない感覚や尿の勢いが弱いといった症状も認めます。3つ目の症状が性機能障害で、性的欲求の減少や勃起不全、射精時の痛みなど、性機能にも影響を与えることがあります。4つ目の症状として、全身の症状があり、疲労感、微熱、体のだるさなど、全身的な不調を訴える患者さんもいます。心理的なストレスにより、うつ症状や不安感を引き起こすこともあります。

2025年1月9日放送

慢性前立腺炎の検査と治療についてお話しします。
まず検査ですが、慢性前立腺炎と診断する前に、他の病気が隠れていないかを確認することが重要です。問診や尿検査を行い、異常があれば尿路結石やがん、感染症を疑います。感染症を疑う場合は、培養検査を追加します。

次に腹部超音波で、膀胱結石や膀胱がん、前立腺肥大症の有無を確認します。膀胱がんを疑う場合は、尿の中にがん細胞が混じっていないか確認する検査や、尿道からカメラを挿入して膀胱内を観察する検査を行います。前立腺がんを疑う場合は、PSAという前立腺がんのマーカーを採血で確認します。

前立腺の状態を確認するためにお尻から指を入れて前立腺の大きさ、硬さ、痛みの有無を確認します。

次に治療方法です。細菌性の場合、抗生物質が治療の中心となります。非細菌性の場合、植物製剤が主に用いられます。また、排尿障害が主な症状の場合、前立腺肥大症の薬を処方することがあります。これらの薬は、尿道や前立腺の筋肉を緩め、尿の流れを改善する効果があります。痛みや炎症が強い場合には、消炎剤や漢方薬が用いられます。また、性機能障害の症状が強い場合にも薬物療法を行います。骨盤底筋の過緊張が原因となっている場合、ストレッチやマッサージなどの理学療法が効果的です。

また、ストレスや心理的な要因が症状に影響を与えることがあり、心理療法やストレス管理も治療の一環として重要です。リラクゼーション法やカウンセリングが役立つ場合があります。

慢性前立腺炎は再発しやすい疾患ですが、治療によって症状を管理することが可能です。規則正しい運動や適度な水分摂取、ストレスの管理が重要です。また、症状を過度に気にせず生活を送ることもお勧めします。

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