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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

通年性・季節性アレルギー性結膜炎/小児における重症アレルギー性結膜炎

2025年4月24日放送2025年5月1日放送

2025年4月24日放送

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2025年5月1日放送

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通年性・季節性アレルギー性結膜炎(放送内容 資料はこちら

アレルギー性結膜炎とは、目の表面にアレルギー反応を引き起こす物質が付着し、結膜に炎症を起こす病気です。アレルギー性結膜炎には大きく分けて5種類ありますが、その中でもハウスダストやダニなどによる、1年中症状がみられる通年性アレルギー性結膜炎と、スギやヒノキなどの花粉による、特定の季節にのみ症状があらわれる季節性アレルギー性結膜炎が有名です。

症状は多彩で、かゆみ、充血、異物感、目やにが出る、涙が出るなどが挙げられます。つまり、かゆいだけがアレルギーの症状ではないことが重要です。しかし、眼科医による目の診療を受けずに、かゆいからアレルギーだ、と他の科の医師に問診のみで診断され薬を処方されてしまうことがあり、実際の医療現場では問題となっております。
例えば目が乾く病気であるドライアイや、感染による結膜炎などによってもかゆい症状を認めますので、眼科を受診し、適切な診断を受けてから治療にあたることをおすすめいたします。

治療方法には、薬物治療とセルフケアがあります。薬物治療では、点眼薬が主に使われます。目標は、完全に症状を消失させることではなく、日常生活に支障がでないように症状を軽くすること、がポイントです。アレルギーを引き起こす物質が、目の表面に付着する環境を完全に無くすことは不可能です。そこで重要なのがセルフケアです。

セルフケアとは、いわゆるアレルギー物質からの回避のことです。ハウスダストアレルギーならば空気清浄機の設置や、花粉症であれば花粉飛散状況の事前収集、外出時のマスクやゴーグルの装用、帰宅後の服に付着した花粉の除去などが挙げられます。

小児における重症アレルギー性結膜炎(放送内容 資料はこちら

今回は、頻度は稀ではあっても、小児に発症し重症化しうる春季カタルについてお話しさせていただきます。

春季カタルは、幼少から学童期の男の子に多くみられ、ハウスダストやダニが原因となることが多いです。典型的には春になるたびに再発し、秋や冬に症状が治まることが多く、成人になるにつれて症状は出なくなっていきます。既往歴に、アトピー性皮膚炎や気管支喘息があると重症化・遷延化する傾向にあります。
実際の臨床の現場では、通年性アレルギー性結膜炎との鑑別が難しく、両方のアレルギー性結膜炎を併発していることも多いため、生活指導の仕方が患者さんによって異なります。

典型的な所見は、上まぶたの結膜にゴツゴツした組織変化を強く認めます。また、その組織との接触により、黒目に傷がついて、悪化し潰瘍となってしまうと、痛みや眩しさ、視力低下が生じるため、授業やスポーツにも支障が生じ、生活の質の低下につながります。

治療方法は、他のアレルギー性結膜炎と同様で、薬物治療とセルフケアとなります。ただし春季カタルは、屋内外での活動が活発な学童期に多い病気であるため、外的環境によるアレルギー物質の付着の機会も多く、なかなか治りにくいのです。さらに、我慢できず擦ってしまう、点眼をしっかりできない、症状がよくなったらやめてしまうため症状が出てから治療を再開するという後追い治療になってしまう、などの理由で遷延する傾向にあります。

黒目に潰瘍ができ慢性化すると、その後治癒しても黒目に濁りが残ることもあり、視力が生涯でにくくなってしまうといった後遺症にもつながります。眼科医を受診し、適切な診断と治療方針を相談していくことをお勧めします。

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