ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
2026年7月23日放送(放送内容 資料はこちら)
最新の胃がん統計では、罹患数は2023年約105,000人(男性約71,000例、女性約34,000例)、2024年の死亡数約38,000人(男性約25,000人、女性約13,000人)で、ともに悪性疾患の第4位の多さとなっています。2009~2011年の胃がんの5年相対生存率は全体で67%でした。
臨床進行度別にみると、早期がん(限局型)では96.7%、進行がん(領域型)は52%で、いかに早期発見が大事だということが分かります。早期で発見されれば開腹手術を受けずに、内視鏡で切除するのみで治癒することが珍しくありません。
胃がんは40代後半から罹患率が増加し始め、50~80代で多く、60代以降にピークを迎えます。そのような理由で横浜市の胃がん内視鏡検診は、50歳以上で間隔は2年毎となっています。
国立がん研究センターの調査によると、胃内視鏡検査を受けた人では、胃がんによる死亡リスクが61%減少、進行胃がんで発見されるリスクが22%減少するといわれています。内視鏡検査では、前がん病変も含め早期がん発見が増加し、死亡抑制効果が胃部X線(バリウム)検査よりも高い可能性が報告されています。
そのため胃部X線(バリウム)検査の割合は減少し、内視鏡検査数が急激に増えています。
胃内視鏡検査には経口(口から)と経鼻(鼻から)があります。経鼻内視鏡ファイバースコープは従来の経口内視鏡に比べて口径が細く、断面の面積も縮小しています。経鼻内視鏡検査は胃への通過経路の違いから、食道入口部を直視できるので、嘔吐感・嘔吐反射が起こりにくく、検査中も会話ができるなどの利点等があり、経鼻内視鏡検査がかなり増えてきています。
コロナ感染流行時には嘔吐反射が少なく、飛沫が飛びにくいので感染を防ぐ意味でも助かりました。
内視鏡検査の近年の進歩としては、最先端技術による精密画像診断とAI(人工知能)による内視鏡画像診断支援システムが挙げられます。
2026年7月30日放送(放送内容 資料はこちら)
内視鏡検査の近年の進歩としては、最先端技術による多彩な画像強調を行い、精密画像を観察・診断する方法です。青や緑の色素を散布したり、普通の白色光と異なる波長の光線や特殊なレーザー光を照射して、胃粘膜の表層の血管や微細構造を可視化して観察します。これでかなり診断精度が上がります。
AI(人工知能)による内視鏡画像診断支援システムは、内視鏡検査中に、リアルタイムでモニター画面上に病変候補を四角や丸(□,○)などでマーキングして指摘し、また同時に音声でも教えてくれるシステムです。
このAI(人工知能)による内視鏡画像診断支援システムもそろそろ実用段階に到達しています。現在も深層学習を積み重ね、内視鏡診断AIは今も進化中です。
これらは人間側の疲労や経験不足による検出率低下・診断の見落としを防ぎ、医師らの人手不足を補い、診断判定に必須となる2人以上の医師によるダブルチェックの分担の役割を果たしてくれそうです。また、タイパ・コスパに優れ、医療費削減という経済効果も期待出来そうです。
ピロリ菌感染や萎縮性胃炎では胃がん発生率が圧倒的に高いので、今後は個別リスクに応じた適切な検診間隔・方法が推奨されることになると予想されます。
胃だけでなく食道・十二指腸などの疾患も、ピロリ菌感染の有無、胃の炎症・萎縮の程度もわかりますので、是非、積極的に胃の内視鏡検診を受けてください。