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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

あなたの爪は大丈夫?爪水虫の話

2019年8月22日放送2019年8月29日放送

2019年8月22日放送

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2019年8月29日放送

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爪水虫ってどんな病気?どうやって診断するの?(放送内容 資料はこちら

熱い夏本番です。海水浴や街中でもサンダルを素足で歩くと気持ちいい季節ですが、あなたのその爪、何か濁っていませんか?
それって爪水虫かもしれませんよ。

そもそも爪水虫ってどんな病気なのでしょうか。
水虫とは俗にカビといわれる真菌の中の皮膚糸状菌が皮膚に感染して生じる病気です。
皮膚糸状菌(その多くが白癬菌)はケラチナーゼという酵素を持っており、皮膚角質層のケラチンという物質を溶かして栄養源として、進入していきます。
皮膚や爪、髪の毛はケラチンを多く含み、皮膚糸状菌が寄生しやすいところです。特に手、足に生じた場合に水虫と言い、爪に生じた場合は爪水虫と言います。学術名称は爪白癬と言います。

水虫、爪水虫の患者さんは日本でどれくらいいるのでしょうか。
今から10年以上前の調査にはなりますが、2007年に水虫以外の病気で皮膚科を受診した患者さんを対象に行った調査の結果では、何と5人に1人が水虫、10人に1人が爪水虫でした。
さらに爪水虫にかかっている患者の割合は高齢になるほど高く、60歳以上の5人に2人が爪水虫という結果でした。
これは立派な国民病と言えるでしょう。

爪水虫は大きく4つのタイプに分かれますが、なかでも最も多いのが、爪の先端や脇が白く濁るタイプです。
しかし、爪が白く濁る病気は爪水虫以外にもたくさんあり、我々皮膚科医でも目で見ただけでは診断はできません。
爪水虫を診断するには、爪の白く濁った部分を苛性カリウム液で溶かして顕微鏡で観察する直接顕微鏡検査があり、この検査は必ず必要になります。

ご自分の爪を見て、おかしいなと思われたら皮膚科を受診するようにしましょう。

爪水虫ってどうやって治療するの?(放送内容 資料はこちら

皮膚科に行って爪水虫と診断がついた場合には治療することになります。
果たして治療する必要はあるのでしょうか?

糖尿病など免疫が極端に低下した疾患をお持ちの方は、水虫や爪水虫がある事により、小さな傷口からばい菌が入り、足を切断などと言った事態を起こすことも稀にありますが、命を脅かすことはまずありません。
しかし、放置することによって自分や家族を含めた他人にうつすことは、罹患率の高さを考えても十分に考えられます。自分のためにも家族のためにも治療をしましょう。

爪水虫の治療はここ数年で大きく変わりつつあります。
まずは2014年から新しく爪水虫に適応を持った塗り薬がでてきたこと、そして2018年にはそれまで使用してきた2剤に加えて新しい飲み薬が加わったことです。
従って現在日本では、外用2剤・内服3剤が爪水虫に適応を持った治療薬ということになります。

効果が最も期待できるのは飲み薬です。
3か月から6か月使用することにより、40-70%の完全治癒率が期待できます。
爪水虫は爪が生え変わることにより治癒するため、飲み終わったときに治癒するのではなく、それ以降に治療効果が持続して治癒に至ります。
飲み薬が終わったからと言って通院をやめずに、しっかり治癒するまで皮膚科に通院することが必要です。

どうしても飲み薬が飲めないという患者さんは塗り薬で治療することになります。
こちらの完全治癒率は20%前後で、やはり爪が生え変わるまで治療を続ける必要があるため、1年以上続けなければならないことが多いです。

それぞれに合わせて、治療方針を決める必要があり、皮膚科医とよくご相談ください。

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