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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

日本の放射線科

2019年10月17日放送2019年10月24日放送

2019年10月17日放送

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2019年10月24日放送

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10月17日放送内容(放送内容 資料はこちら

病院や診療所、クリニックでは、内科や外科、小児科といった診療科とともに放射線科と標榜されていることがあります。今回から2回、放射線科の基本的なお仕事についてご紹介していきます。

第1回目は、放射線科のお仕事の大部分を占める、放射線検査についてです。
放射線を利用した検査一般を放射線検査といい、体を透き通して写し出す放射線の性質を利用した検査になります。

身近なものでは、学校や職場の健康診断で実施する胸部X線検査が放射線検査の一つです。
皆さんはCT検査やMRI検査を受けたことがあるでしょうか。CTは放射線の一種であるX線を利用して体の断面を描き出すことができる検査で、MRIは磁石の力を利用して体の断面図を描くことができる検査です。
体を切り開かなくても体の中を観察できるので、現代の医療ではこれら放射線検査は欠かすことのできないものとなっています。

実は日本は、CTやMRIが世界で一番普及しており、保険診療としてこれらの検査を受けられる国の一つなのです。
2017年のOECD調査結果によると、日本にCTは約1万人に1台、MRIは約2万人に1台普及しています。たいていの病院にはCTやMRIが設置されており、中小規模のクリニックにも、CTが設置されているところがあります。
がんに限らずほとんどの病気は早期発見・早期治療が大切なのは言うまでもありません。
患者さんが、何か体調がおかしいな、と思ったときに、CTやMRIなど、必要な検査が必要な時にすぐ実施できる日本のような環境は、多くありません。
日本の医療レベルが高い、治療成績が諸外国の中でもトップレベルであり続けているのは、こうした高度な放射線検査が気軽に受けられる、そして早期発見に役立っている、という見方もあるのです。

10月24日放送内容(放送内容 資料はこちら

放射線科の主なお仕事についてのお話の2回目です。
第1回目は放射線科のお仕事の大部分を占める放射線検査について、CTやMRIなどの放射線検査は、体を切り開かなくても体の中を観察でき現代医療に欠かすことができないこと、日本ではCTやMRIが世界で一番普及していること、こうした放射線検査をすぐに受けられることが日本の高度な医療レベルを支えていることをお話ししました。

今回は、放射線科で働く医師、放射線科医のお仕事について紹介します。
放射線検査の際に患者さんと接し撮影を行うのは診療放射線技師の人たちで、放射線科医ではありません。
内科や外科など臨床科の医師と異なり、放射線科医が患者さんと接する機会はほとんどないのです。

では放射線科医は何をしているかというと、CTやMRI等といった放射線検査の結果について画像診断し、報告書を作成して画像とともに臨床科に提供しています。
もちろん各臨床科の医師も画像を見て診断しますが、現在では医師の専門分野が特化しており、各診療科の専門以外の領域では画像診断に限界があります。
たとえば、呼吸器専門の先生は肺の画像診断には強いのですが、肝臓や腎臓といった腹部の画像診断は慣れていない場合があります。医師とはいえ人間ですから、思い込みや見落としのリスクもあります。
放射線科医は臨床科医とは独立して画像診断を行い、その結果を報告することで、放射線検査結果のダブルチェックをしているのです。

世界で一番普及しているCTやMRIですが、日本ではこのようにして検査のクオリティを担保していますので、安心して検査を受けていただきたいと思います。
そして機会があれば、放射線科の画像診断報告書をみていただきたいと思います。
一つの検査に複数の医師や技師が関与し協力して実施されていることがお分かりいただけると思います。

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