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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

放射線治療とは/神奈川県立がんセンターの放射線治療

2020年5月14日放送2020年5月21日放送

2020年5月14日放送

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2020年5月21日放送

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放射線治療とは(放送内容 資料はこちら

現在日本人は、一生のうちに、2人に1人は何らかのがんにかかるといわれています。がんは、すべての人にとって身近な病気です。
放射線治療は、手術、薬物療法(抗がん剤治療)と並ぶ、がんの3大治療法の1つです。
手術と同様、患部の局所に対する治療ですが、手術のように臓器を取り除いたりせずに治療をします。がんの治療では、患部に放射線をあてることにより、細胞のDNAに損傷を与え、がん細胞を死に至らしめます。
単独で行われることもありますが、薬物療法や手術と併用されることもあり、その場合を、集学的治療と呼びます。
放射線治療装置としては、高エネルギーX線を発生させるリニアックと呼ばれる装置が一般的です。また、治療用放射線としては、電子線、陽子線、重粒子線、α(アルファ)線、β(ベータ)線、γ(ガンマ)線などが用いられています。

放射線が、がん治療の手段として使われ始めてから100年以上が経ちます。
その間に、放射線治療は急速に進歩しました。高い治療効果と少ない副作用を目指して、がん細胞に多くの放射線量を照射し、周囲の正常組織にはできる限り少ない量の放射線を照射する方法が開発されています。

放射線治療では、体の外から放射線をあてる外部照射が一般的です。照射中(治療中)に痛みはありませんが、数分間は動かずにじっとしていることが必要です。

担当医から患者さんへ、放射線治療の提案がされ、放射線治療医に紹介されます。
放射線治療医は、検査結果やこれまでの治療内容などを検討し、放射線治療が実施できるかどうか、その方法などについて検討します。治療を行うことが決まったら、治療計画が立てられます。治療開始から終了まで週5日間の治療を約1ヶ月間行います。

神奈川県立がんセンターの放射線治療(放送内容 資料はこちら

横浜市内の医療機関に従事する放射線治療医は約30名、神奈川県全体でも80名ほどです。横浜市の総人口は全国の市町村で最も多い約375万人のため、10万人あたり1名以下で、欧米と比較してその半分以下です。
ちなみに、全国で最も人口当たりの放射線治療医の多い市は前橋市で、10万人当たり約5名です。

地方独立行政法人神奈川県立病院機構が運営する神奈川県立がんセンターは横浜市旭区にあり、都道府県がん診療連携拠点病院に指定されている、神奈川県のがん医療を担う専門病院です。

放射線治療科は光子線部門と重粒子線部門(i-ROCK)があり、合計8名の放射線治療医が在籍しています。重粒子線治療施設は全国で7施設、光子線治療と重粒子線治療を同一施設で行えるのは当院以外では現在QST病院(旧放射線医学総合研究所病院)と群馬大学のみです。

光子線部門は通常のX線治療と小線源治療による通常の放射線治療を行っています。
体幹部定位放射線治療(SBRT)、強度変調放射線治療(IMRT)、画像誘導下小線源治療(IGBT)など最先端の放射線治療を行っています。

重粒子線部門では最先端放射線治療である炭素イオンによる重粒子線治療を行っています。
重粒子線治療は優れた物理的特徴(線量分布)と強い生物学的効果(致死効果)を特徴とする放射線治療です。これにより、従来のX線治療では難治性がんの根治や、より少ない副作用での治療が可能となります。
治療対象は限局している腫瘍で、前立腺がん、骨軟部腫瘍、肝臓・膵臓がん、子宮頸がん、早期肺がんなどです。
今後は小児がんや海外からの患者の受け入れを進めていく予定です。

神奈川県立がんセンターは先端的放射線治療を行う施設として、神奈川県下のがん患者をもとより国内外のがん患者を受け入れ、質の高いがん医療を提供しております。

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