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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

胃食道逆流症

2020年5月28日放送2020年6月4日放送

2020年5月28日放送

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2020年6月4日放送

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5月28日放送内容(放送内容 資料はこちら

胃食道逆流症とは、胃の内容が食道に逆流して胸やけや食道炎をおこす病気のことで、英語表記を略してGERD(ガード)とも呼ばれています。
内視鏡検査で食道炎があるものを逆流性食道炎といい、胸やけがあっても内視鏡で食道炎がないものを非びらん性胃食道逆流症と呼びます。この2つを合わせたものが、胃食道逆流症、すなわちGERDということになります。

日本では1990年頃から増加しており、約10人に1人が逆流性食道炎であると言われており、GERD全体の有病率はその2倍程度との報告があります。

胃と食道のつなぎ目を噴門と呼ぶのですが、正常な噴門は食道に胃酸が逆流するのを防ぐ役割を果たしています。この機能が低下すると食道に胃酸が逆流しやすくなります。
ゲップをすると、噴門が一時的に開いて胃にたまった空気を出す現象が起きます。この時に空気だけでなく、胃酸が逆流することがGERDの起こる最も大きな原因です。
また胃酸過多や食道粘膜が過敏になっていることもGERDの原因となります。

高脂肪食、食べ過ぎ、早食い、お酒やたばこ、それから夜遅く食べる人はGERDになりやすいといえます。胃酸の逆流は主に食後に起こるため、食べてすぐ寝ると、胃酸が長時間食道内にとどまり食道炎が悪化します。
それから前かがみの姿勢や肥満は内臓を圧迫して逆流を起こします。また胃の一部が胸の方に脱出したものを食道裂孔ヘルニアといいますが、背中が丸くなった高齢者に多く、これも逆流の原因になります。

ピロリ菌感染は慢性胃炎を引き起こし、胃酸の分泌が低下するため、ピロリ菌に感染していない人の方が、GERDになりやすいということになります。またピロリ菌除菌後に5~10%の人がGERDになると言われています。

6月4日放送内容(放送内容 資料はこちら

GERDの主な症状は胸やけと呑酸です。
呑酸とは胃酸がのどや口の中まで逆流し、酸味や苦みを感じることです。他には胸痛やつかえ感、のどの違和感、咳などがあります。これらは大変不快で、不眠症の原因にもなります。

GERDの診断ですが、胸焼けと呑酸があれば症状のみで診断します。またGERDの治療薬の効果をみて診断する場合もあります。しかし内視鏡検査で食道炎の有無や重症度を確認することは大切で、重症例では合併症の予防のため定期的な内視鏡検査が必要です。また食道がんなどを見逃さないためにも一度は内視鏡検査を受けましょう。

GERDは肥満や背中が丸くなった高齢者で重症化しやすく、放置すると食道に出血や狭窄をきたすことがあります。またバレット腺がんという特殊な食道がんを引き起こすこともあり注意が必要です。

食生活では、大食い、早食いを控えることが重要です。また夜間の逆流を避けるために夜遅く食べるのをやめて、上半身を少し高くして寝るのが効果的です。臥位の場合、左側を下にして寝た方が逆流しにくくなります。

最後にGERDの治療ですが、最も効果的なのが胃酸の分泌を抑える薬です。主にプロトンポンプ阻害剤を使用します。また5年程前にボノプラザンという、より強力な酸分泌抑制薬が登場し、特に重症例や難治例に大きな効果が得られています。

まず初期治療では8週間服薬することでほとんどの患者さんは改善します。しかし薬を中止すると再発が多く、内服継続が必要な方も少なくありません。軽症例には、オンデマンド療法といって必要な時だけ薬を飲むといった治療もあります。治療方針については主治医の先生とよく相談しましょう。

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