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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

前立腺肥大症

2020年7月9日放送2020年7月16日放送

2020年7月9日放送

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2020年7月16日放送

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7月9日放送内容(放送内容 資料はこちら

前立腺肥大症とはどんな病気か、診断はどのようにするのかお話します。
前立線は男性にだけある臓器で、膀胱のすぐ下で尿道を取り囲むように存在しています。精液を作り、射精に関係しています。
正常の前立腺はクルミの大きさ程度ですが、中高年以降に前立腺が大きくなって、尿道を圧迫して排尿に異常が起きるのが前立腺肥大症です。前立腺の増大が軽度であっても、前立腺の筋肉の緊張によって尿道が圧迫されていることもあります。

初期の症状は残尿感、切迫感、尿が近い、夜排尿のために起きる回数の増加です。やがて尿の勢いの低下、お腹に力を入れないとなかなか尿が出せなくなったり、途中で途切れるなどの症状が出ます。さらに進むと尿閉といって、何かのきっかけで全く排尿できなくなります。

前立腺肥大症の診断のための検査についてです。超音波検査では前立腺の大きさや形を調べることができます。同時に膀胱の異常、腎臓の異常についても見ることができます。

尿流測定は実際に排尿していただいて、勢いや量を測定する検査です。排尿後に超音波検査で残尿の量を測定します。客観的に排尿障害の重症度を調べることができ、排尿のパターンから、前立腺肥大症以外の原因がないかどうかもある程度判断することができます。身体への負担が少なく、簡単な検査ですが、有用な検査です。ただし十分に尿が貯まった状態で検査する必要があります。

膀胱炎や尿路感染症などがないかどうか、尿の検査も必要ですし、前立腺がんを否定するために血液検査でPSAのチェックも必要です。これらを総合して、前立腺肥大症が原因の症状かどうか、そして重症度がどれくらいか診断して、患者さんの自覚症状とご希望とを併せて、治療が必要かどうかを判断します。

7月16日放送内容(放送内容 資料はこちら

前立腺肥大症の治療についてお話します。
自覚症状が軽度で、諸検査の結果も問題ない場合は経過観察となります。また、飲水、食事、運動などの生活指導、排尿の習慣についての指導が行われます。生活習慣病との関連も指摘されていますので、人間ドックなどで指摘されている方には受診をお勧めします。

薬による治療について説明します。
最も多く使われているのはアルファ1遮断薬と呼ばれる藥で、タムスロシン、ナフトピジル、シロドシンなどの薬剤です。前立腺の筋肉が過剰に緊張して尿道を圧迫している状態を改善するのが目的です。比較的速やかに症状を改善しますが、稀に血圧が下がったり、ふらつき感が起きることがあります。
同様の目的で使用される比較的新しい薬にPDE5阻害薬であるタダラフィルという薬剤があります。

前立線の肥大を小さくする目的では5アルファ還元酵素阻害薬、デュタステリドという薬剤があります。効果が現れるまでに数ヶ月かかり、やめると元に戻ることがあります。
頻尿、尿意切迫感が強い場合には、過活動膀胱の治療薬の併用も行われますが、勢いの低下が大きい時や残尿が多い時には症状を悪くする可能性があるので注意が必要です。

薬による治療で改善が不十分な場合には手術療法を考えます。お腹を切らずに内視鏡で行う手術がほとんどです。昔から行われているのは、電気メスで肥大した前立腺を切り取って尿道を広げる経尿道的前立腺切除術です。
最近はレーザーを使って肥大した前立腺を取り除く手術や、同じくレーザーによる蒸散という現象を利用して尿道を拡げる手術も広く行われるようになりました。

以上、駆け足ですが、前立腺肥大症の治療についてお話しました。

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