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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

甲状腺ホルモンの病気について/甲状腺のしこりの病気について

2019年8月8日放送2019年8月15日放送

2019年8月8日放送

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2019年8月15日放送

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甲状腺のホルモンの病気について(放送内容 資料はこちら

甲状腺は、心臓などと同じように臓器そのものの名前であり、病名とは違います。
心臓に狭心症や心筋梗塞などの病気が起こるように、甲状腺にも特有な病気が起こります。しかし、甲状腺に起こる病気はひとつではないため、「甲状腺が悪い」と言われたとしても、それだけでは何の病気かはわかりません。
甲状腺の主な病気の代表はホルモンの病気である「バセドウ病」、「橋本病」としこりの病気である「良性甲状腺結節」、「甲状腺がん」に分けることが出来ます。

甲状腺は首の喉仏の下方、気管の全面にある「蝶々」のような形をした12−15gの小さな組織です。一般的には病気となって腫れない限りは、のど元を触っても分かりません。この小さな組織が甲状腺ホルモンを産生し、全身の新陳代謝(元気の源)を調整していると言っても過言ではありません。

ホルモンの病気として有名なのは、甲状腺ホルモンを過剰分泌するバセドウ病です。目がでたり、首が腫れたりすることもありますが、高齢者では、このような外観の変化は少なく、診断が難しい場合もあります。血液検査で、ホルモンの値とバセドウ病の刺激抗体(TRAb)を測定することでほぼ診断可能です。
一方、甲状腺に慢性の炎症がおこり、甲状腺が硬く、ゴツゴツとした変化を呈し、ホルモンが低下する事がある病気が橋本病です。
治療としては、両者ともにホルモン値のコントロールをお薬で行いますが、バセドウ病でホルモンを下げるためのお薬には副作用が知られており、専門医の加療が必要です。また、妊娠、出産時などにも充分な注意が必要です。
薬物治療で効果の無い場合は、症例によって、手術・放射線治療(アイソトープ治療)が適応となりますが、種々の条件によってその適応は異なりますので、専門医にご相談ください。

補足: 甲状腺とヨード(ヨウ素)
海草に含まれるヨード(ヨウ素)は、甲状腺ホルモンを作るための材料になるものです。「甲状腺の病気のひとは、海草を食べてはダメ」と言われることがありますが、適量は全く問題ありません。但し、昆布には多量のヨードが含まれており、多量に摂取すると甲状腺機能異常を起こすことがありますので、注意が必要です。

甲状腺のしこりの病気について(放送内容 資料はこちら

甲状腺にできるしこりには、大きく分けて2つのものがあります。

1つ目は、甲状腺の中に水袋や大小様々な良性のしこりが多発する腺腫瘍甲状腺腫です。
5cmを超える大きさになると、のどの圧迫感や頚部の腫れからご自身で分かる場合もありますが、のどの痛みや飲み込みにくさなどの症状は殆どありません。そのため、放置されている方が多いのですが、増大に伴い、鎖骨の下から胸の中に入り込んだり、気管を圧迫すると手術しか治療法はなくなります。早期に発見すれば、手術以外の方法でも縮小させることは可能ですので、専門医にご相談ください。

2つ目は、甲状腺がんです。
日本の甲状腺がんの90%以上を占めるのは、進行が遅くおとなしいタイプの乳頭がんとよばれるものです。多くは超音波検査と針を刺して調べる細胞診検査で診断可能です。早期の時期には、しこり以外には症状はありませんが、進行すると声がかすれる、ものが飲み込み難いといった症状が出ます。また、肺や骨などへの転移が現れます。手術による成績は、他のがん比べて極めて良好です。

甲状腺の手術は、頚部という狭い場所に甲状腺・気管・食道・血管が全て隣同士に集まっており、その間を極めて細い声の神経(反回神経、1mm大)が走っています。安全、的確な手術が求められると共に、首元という人目につく場所でもあり、如何に手術のキズをきれいにするかも大切なポイントです。
経験豊富な専門医の受診を強くお勧めいたします。

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