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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

夜尿症について

2019年9月5日放送2019年9月12日放送

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2019年9月12日放送

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夜尿症について

乳幼児期の夜尿を「おねしょ」といいますが、5歳以降で月1回以上のおねしょが3か月以上続くものは「夜尿症」と定義されています。
夜尿症はアレルギー疾患に次いで、2番目に多い小児の慢性疾患と言われています。

時々おねしょをしてしまう程度の子どもの比率は、5~6歳で約20%、小学校低学年で約10%と減少しますが、10歳児でも約5%にみられます。ごくまれに成人まで続くケースもあります。
夜尿症は子どもの自尊心を低下させ、自信をなくしたり、学校生活や友人関係に影響を与えることがあるため、積極的な治療介入が必要であり、また治療を継続的に行うことで、夜尿の頻度を減らせたり、治療を受けていない場合より早く夜尿から卒業しやすくなります。
受診のタイミングとしては、小学校に入学しても、ほぼ毎日夜尿がある場合は、医師に相談するのがよいでしょう。
治療後、半年までに約80%の子どもで症状が軽快したという報告があります。また治療後2年で治癒した子どもは75%以上と報告されています。早めに治療することで治療率が高くなります。

夜尿症の原因としては、夜眠っている間に作られる尿の量が多すぎたり、膀胱に尿を充分にためられないことがあげられます。また両者が組み合わせっている場合もあります。

病院では、まず、問診と尿検査を行います。
問診では、生活改善をするために、現在の生活習慣の確認を行います。
また日中におもらしをしたり、便をもらしてしまうなどの病気がないかを確認します。
尿検査は、腎臓に疾患がないかの確認です。また薬物治療に適応しているかどうかの確認のためです。

治療について

夜尿症と診断されたら、まずは日誌を用いて、生活改善に取り組みます。生活改善により夜尿症の改善がみられる場合は継続し、改善しない場合は薬物療法やアラーム療法で治療することが推奨されています。

具体的な生活改善とは、早寝、早起きをして規則正しい生活を身につけ、生活のリズムを整えます。
夕食後から寝るまでの時間を2〜3時間程度あけるようにします。
水分の取り方に気をつけます。日中、水分をしっかり摂り、夕食後はコップ1杯程度までにします。夜に飲んだ水分が、夜中の尿になるためです。夕方からの水分摂取の制限を成功させるためには、日中にしっかり水分をとることが大切です。日中、水分を充分にとり、尿を作り膀胱にためることで膀胱を育てることもできます。
そして寝る直前には必ずトイレに行くという生活習慣を身につけることが大切です。
寝ている時の寒さ(冷え)対策も必要です。
また夜中に無理にトイレに起こさないことも大切です。起こしてトイレに行かせても、効果がないことがわかっています。
便秘がある場合は、便秘の改善も必要です。
腸に大量の便があると、膀胱を圧迫するために、夜尿症に影響を与える可能性があります。排便の回数が週に2回以下と少ない、便が硬くて出しにくい、排便後もすっきりしない場合は便秘かもしれません。便秘を改善することで、夜尿症の子どもの60%が夜尿症も軽快したという報告もあります。

生活改善だけでも、夜尿のなくなるお子さんもいますので、その場合は生活改善を継続します。
それでもまだ夜尿が続く場合は、薬物療法やアラーム療法を併用します。

薬物療法

尿量を調節する働きをもつ薬(抗利尿ホルモン)や、膀胱の収縮を抑える働きをもつ薬(抗コリン剤)などを使用します。
尿の量や水分を調節しているホルモンに似た成分を補うことで、夜間の尿量を減らします。膀胱の緊張をゆるめ、膀胱の収縮を抑えることで、尿を膀胱にためられるようにします。
夜尿症の薬は、年齢や症状などにより使い分けたり併用したりします。

アラーム療法

アラーム療法は、夜尿を本人に気づかせて、寝ている間に膀胱にためられる尿量を増やし、夜尿回数を減らしていく方法です。専用の機械を使用して治療します。
下着や専用パッドにセンサーをセットし、夜尿をすると、音、光、バイブレーションなどによるアラームが出ます。アラーム療法は、毎日行う必要があり、本人の意欲とご家族の協力が治療の継続には特に必要です。

以上のように、生活改善にくわえて、薬物療法、アラーム療法を組み合わせて行っていくことで、夜尿症の治療を行います。

最後に、夜尿症は、子どもの性格やご家族の育て方などとは関係ありません。
大切なのは、あせらず怒らず、比べず、そしてほめることです。
おねしょをしたいと思っている子どもはいませんし、その子自身も気にしていることが多いので、おねしょをしてしまったことを怒ったり、他の兄弟や友人と比べたりしないで下さい。そして、夕方からの水分制限を頑張れたり、寝る前に忘れずトイレに行けた日や、おねしょがなかった日は、しっかりとほめてあげて下さい。

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