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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

突発性難聴

2019年11月14日放送2019年11月21日放送

2019年11月14日放送

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2019年11月21日放送

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11月14日放送内容(放送内容 資料はこちら

突発性難聴は、文字どおり突発的に左右どちらかの耳が難聴となってしまう病気です。
年間で人口10万人あたり61人発症する病気ですので、全国で年間7万人~8万人、横浜市だけで年間2300人程度発症する計算になります。

突発性難聴の定義は、「急に起こる内耳性の難聴で、原因が不明なもの」です。
内耳の血流が悪くなって起こるという説や、内耳のウイルス感染が引き金になる、という説があります。睡眠不足や過労、心身のストレスなども関係があるといわれていますが、まだ明らかな原因は解明されていません。
原因不明ですので誰でもなる可能性がありますが、50~70代に多いとされています。生まれつきの難聴や加齢性難聴とは異なります。この病気の治療は時間との勝負で、発症から治療開始までが早ければ早いほど効果が高いといわれています。対応が遅れると治らなくなるので大変です。

症状として、「片方の耳が聞こえない・聞こえにくい」という場合は分かりやすいのですが、「耳がつまったような感じ」や「片方の耳がふさがった感じ」という場合もしばしばあります。この場合、病院に行かずに様子を見る方もいると思うので注意が必要です。さきほども申し上げたように少しでも早めに診断・治療を行った方がいい疾患ですので、気になる症状があれば早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
救急病院でも夜間や休日には検査ができませんので、例えば土曜日の夜から症状があれば、次の平日の午前中に耳鼻咽喉科を受診すれば多くは問題がありません。

診断は聞こえの検査と鼓膜の状態の確認を行い、聴力の程度によってグレード1~4に分類します。必要であれば頭部のMRI検査や、めまいを併発している場合は平衡機能検査を行うこともあります。
診断がつけば治療になりますが、治療については次週お話しさせていただきます。

11月21日放送内容(放送内容 資料はこちら

今回は突発性難聴の治療のお話をします。
突発性難聴の原因として2つの説、「内耳の血流障害」「ウイルス感染」があるとお話ししましたが、これらに沿ったものです。

治療は、多くの施設でステロイドの投与を軸として、様々な治療が行われていますが、確立したものはありません。ステロイドに加え、ビタミンBや循環改善薬の内服、点滴を行う場合も多いです。
難聴の程度が軽い場合には、のみ薬で治療しながら数日ごとに聴力の経過を追う場合も多いですが、中等度から重症の場合には、大きな病院に紹介状を書いてもらい、入院治療を行う場合が多いです。
入院のメリットとして、内服に比べて大量のステロイドを投与できる点、安静が保たれる点、ステロイドの副作用に対してすぐに対応できる点があげられます。突発性難聴の原因は、「ストレス」があると考えられているので、安静が重要、というわけです。

ステロイドの副作用として、糖尿病の悪化、高血圧の悪化、胃炎・胃潰瘍、精神的不安定、ウイルス性肝炎の劇症化などがあります。
これらの副作用を軽減する目的で、ステロイドを内服や点滴でなく耳に注射する方法もあります。「鼓室内ステロイド療法」と呼ばれ、まだ保険適応にはなっていませんが、一般の医療機関で実際に行っています。全身的副作用を起こさずに治療効果が高いとの報告があり、治療として期待されています。保険適応になっている「高気圧酸素治療」も併用することがあります。

治療効果ですが、早めに治療を行った全ての患者さんが治るわけではありません。完治する方が1/3、完治ではないけれど改善する方が1/3、治らない方が1/3と言われています。
だからこそ早めの治療が重要です。1ヶ月以上経つと、残念ながらほとんど回復が望めません。繰り返しになりますが、気になる症状があれば早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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