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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

高血圧の診断/家庭血圧の測定と降圧目標

2020年2月6日放送2020年2月13日放送

2020年2月6日放送

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2020年2月13日放送

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高血圧の診断(放送内容 資料はこちら

わが国の死因をみると第一はがん、第二位は心疾患、第三位は老衰、第四位は脳血管障害です。
心疾患と脳血管障害は血管の病気なので、あわせて脳心血管病としてまとめて考えられることも多く、がんに続いて大きな死因の原因となっています。
心血管病において最も重要な危険因子は高血圧といわれています。高血圧の有病者は日本人では約4300万人といわれています。今回はこの高血圧についてお話させていただきます。

高血圧については、日本高血圧学会より高血圧治療ガイドラインが約5年毎に出版されており、これに基づき話をさせていただきたいと思います。
昨年(2019年)4月に新しい2019年版ガイドラインが出版されました。以前の2014年版と比べ治療目標が変更となり、ニュース等でも話題になりました。

さて、高血圧を疑われた際に、現在は家庭血圧に基づき高血圧を診断することなっています。
診察室の血圧は140/90mmHg以上、家庭血圧は135/85mmHg以上を高血圧と定義します。
皆様はそれ以下を正常と考えると思いますが、正常はそれよりも低く120/80mmHg未満、家庭血圧では115/75mmHg未満を正常と定義します。
その間は正常高値血圧、あるいは高値血圧と呼び、血圧が下がるように心掛けなければなりません。かなり厳しい基準だと思います。

家庭血圧を測定すると、診察室と分類が異なることがおこります。
家庭血圧も診察室血圧が両方高ければ持続性高血圧として加療することは異議がないと思います。
一方、家庭血圧が低く診察室血圧が高い時は白衣高血圧といわれ、すぐに治療するのではなく、その後の経過を見ながら管理していきます。逆に診察室血圧が低く家庭血圧が高い時は仮面高血圧と呼ばれ十分な血圧管理が必要になります。
もちろん両方低ければすぐには問題ありませんが、時々血圧を測っていただくことが必要になります。
次回は家庭血圧の測定方法と治療目標についてお話します。

高血圧 家庭血圧の測定と降圧目標(放送内容 資料はこちら

今回は家庭血圧の測定についてお話します。
血圧計は家電量販店や薬局で売られています。手首で測定する機械は誤差を生じやすいので、上腕で測定する家庭用血圧計を使用してください。

測定は左手にマンシェット腕帯を巻いてください。機械が左手で測定するようにできているので、右手で測定する時は機械の説明書を読んでください。
腕帯は5年くらいすると傷んでくるので、傷んできたら買い替えることをお勧めします。

腕帯は必ず肘のしわより上に巻くように注意してください。巻く強さは指1-2本入るくらいにしてください。
厚いセーターなどの上から測ると腕が太くなったのと同じになります。腕が太い時は大きな腕帯が必要になります。
冬は腕帯を巻くとひんやりして血圧が上がることもあると思いますので薄い肌着の上から測った方がむしろ良いと思います。

血圧測定は起床後1時間以内、排尿後朝食前に1-2分の安静の後測定、及び就寝前に1-2分の安静後測定してください。

室温は快適な温度になるよう努めてください。特に冬は室温が低く、寒いところで測ると高くなりやすいので注意が必要です。
背もたれ付きの椅子で足を組まないで会話を交わさず測定してください。
測定回数は1機会1回ないし2回、測定した値はそのまま記載して主治医がいる場合はそのまま見せてください。
朝あるいは就寝前のそれぞれの血圧の平均値が135/85mmHgを超えるようでしたら、かかりつけ医にご相談ください。

今回のガイドラインでは、今までより降圧目標値が約10mmHg下がりました。
75歳未満の成人、尿蛋白の出ている腎臓病患者、ワーファリンなどの抗血栓薬を内服している人は家庭血圧125/75mmHg、75歳以上の高齢者は135/85mmHg未満を目標に降圧することとなりました。
最近の研究では十分血圧を下げた方が心血管病、特に日本人に多い脳血管障害を防ぐと考えられています。

家庭血圧の測定についてお話しましたが、高血圧の診断治療には今や家庭血圧の測定は不可欠となっています。
ぜひ家庭で血圧を測定してみてください。それがゆくゆくは脳心血管病を防ぎ健康寿命を延ばすことになると思います。

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