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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

乳がん

2020年3月5日放送2020年3月12日放送

2020年3月5日放送

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2020年3月12日放送

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3月5日放送内容(放送内容 資料はこちら

近年、我が国で乳がんが大変増加しています。乳がんは日本人女性が罹患するがんの中で最も多く、1年間で約8万人の方が新たに乳がんと診断されています。
乳がんは20歳以上のあらゆる年齢の方に発症しますが、中でも40代から60代という現役で働いている年齢層の女性に多く発生することが特徴です。これは、乳がんの発生に女性ホルモンのエストロゲンが関与しているためです。

なぜそこまで乳がんが増えたのでしょうか?
食生活の欧米化や女性の社会進出に伴うライフスタイルの変化が背景にあると言われています。
食生活やライフスタイルの変化により、日本人女性の体格は大変良くなりました。戦後に比べて、現代の女性は身長も高く、皮下脂肪の量も増えました。そして、初潮が早く、閉経年齢が遅くなったことに加え、一人の女性の生涯における妊娠・出産回数が減ったこと、などが乳がんのリスクを高めていると考えられています。

乳がんの診断や検査法についてお話しします。
乳がんは、年1回の乳がん検診で見つかるケースのほかに、乳房にできる硬いしこりや乳頭からの血液分泌などの自覚症状で見つかることがあります。通常、初期の乳がんに痛みはありませんので、自覚症状がなくても、年1回の乳がん検診を受けることが重要です。

先ず、画像検査としてマンモグラフィや超音波検査を行い、疑わしい病変が見つかった場合は、針生検と呼ばれる組織検査を行います。得られた組織に対して顕微鏡による病理検査を行い、乳がんか否かを診断します。
そして乳がんと診断された場合は、転移や広がり診断のため、CTやMRI検査を行い、治療方針を決定します。

次週では、乳がんの治療についてお話しします。

3月12日放送内容(放送内容 資料はこちら

乳がんの治療は、局所治療と全身治療の二つから構成されています。

局所治療とは、乳房の原発巣とまわりのリンパ節を取り除くもので、手術と放射線治療を組み合わせて行います。
手術法には、乳房の一部分のみを取り除く乳房温存術と、乳房を全て切除する乳房全摘術がありますが、近年は整容性を重視した乳房温存術が全体の約7割を占め、主流となっています。
放射線治療は、乳房温存術後に残した乳房に対して行われるもので、乳房を全摘出した場合には必要ありません。

一方で、薬剤を用いた全身治療は、術後の再発予防のために行われます。
乳がんは、原発巣の大きさが1cmほどの小さな段階から、既に血液中にがん細胞が侵入していると考えられており、これらのがん細胞が患者さんの体内で生き残り、数年後に再発巣を形成します。
ひとたび再発した乳がんは根治することが難しくなるため、乳がんは初めの治療で根絶させ、再発をさせないことが重要です。
そこで、多くの乳がんでは、原発巣の手術だけで終わるのではなく、術後の全身薬物療法が必要になってくるのです。

乳がんで使用する薬剤は大きく分けて3種類あり、それぞれホルモン剤、抗がん剤、分子標的剤と呼ばれています。
どの薬剤を使用すれば良いのかという点が最も重要になりますが、近年では、免疫染色と呼ばれる方法で乳がんのサブタイプ分類が行われ、個々の患者さんにとって有効な薬剤が選択できる個別化治療が可能となり、乳がん治療の成績向上に繋がっています。

確かに治療成績は年々良くなってきていますが、早期発見、早期治療に勝るものはありません。大切なご家族のためにも、年1回の乳がん検診をぜひお受けください。

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