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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

長引く咳

2020年8月20日放送2020年8月27日放送

2020年8月20日放送

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2020年8月27日放送

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8月20日放送内容

皆さん初めまして。横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニックの三島渉です。
新型コロナウイルス感染症が流行してから以前より咳を気にする方が増えています。
咳のことについてお話しさせていただきます。宜しくお願いいたします。

皆さんは、風邪をひいたとき、熱や鼻水はすぐにおさまったのに、咳だけが長く続く―そんな経験をしたことはないでしょうか。そもそも風邪によって出る咳は長くても2週間程度でおさまります。それ以上続いている咳は風邪が原因ではありません。実は風邪以外のもっと重大な病気が隠れていることがあります。「そのうち治るだろう」と軽く考えていると、あとから大変なことになってしまう場合もあります。

私が大学病院の呼吸器内科で診療していた頃は、病状が進行してから受診される方が多く「もっと早く来てくれていれば…」というケースが何度もありました。

喘息など咳が続く呼吸器系の病気は診断がとても難しく、レントゲンや血液検査など一つの検査結果からすぐに診断をつけることができません。患者さんからお聞きした症状と複数の検査結果を組み合わせ、医師の知識・経験をもとに判断する必要があるため、正確な診断がつかないうちに症状を悪化させてしまうことが多いのです。
2週間以上続く咳は決して放置せず、早めに受診していただきたいと思います。

呼吸器疾患に限らず大切なのは「早期発見・早期治療」です。
通常、咳が長く続いている場合にはまず胸部レントゲンを行います。また、早期の肺がんや肺結核などの命に関わる病気があっても胸部レントゲンだけではわからないことがあるため、積極的にCT検査を行うことが必要です。実際に、毎年レントゲン検査だけでは見つからない初期の肺がんが発見されており、CT検査の重要性を実感しています。

8月27日放送内容

前回はまず、咳が2週間以上続いている場合にはただの風邪による咳ではないということ、原因を調べるために胸部レントゲン、さらに可能であれば胸部CTをとった方がいいということをお話ししました。

レントゲンやCTで異常がなかった場合には、次に喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの慢性の病気がないかどうかを調べます。そのため、スパイロメーターやモストグラフという検査を実施します。肺機能をチェックし喘息やCOPDがないかを確認します。喘息とCOPDを判別するには呼気一酸化窒素ガス分析を行います。喘息の場合は気管支の炎症によって一酸化窒素が発生するため、呼気中の濃度を測定することで診断に役立ちます。

呼吸器疾患の診断に用いる検査機器は近年急速に進化しています。
病気を正確に診断し、悪化を防ぐためにぜひ検査を受けていただきたいと思います。

 咳が続いて来院する患者さんのうち、6~7割以上の方は喘息です。とくにゼーゼー、ヒューヒューといった喘息に特徴的な症状がなく、咳だけが続く咳喘息という患者さんの場合、ご自分の咳の原因が喘息であることを知って驚く方がほとんどです。成人でも喘息になることは決して珍しくはありません。

そしてあまり知られていないことですが、喘息は食生活とも密接に関連しています。
現代の日本人の食生活は糖質の過剰摂取の方が多く肥満傾向となり、喘息の原因である気道の炎症が悪化します。さらに、腸内環境も悪化してアレルギー体質がよりひどくなります。
また、外食やコンビニ利用の結果、食品添加物の摂取量が増え、ミネラルの吸収不足を起こして症状が悪化します。
実際に同じ薬を服用していても、食生活改善を行うことによって、さらに治療効果があがり使うお薬の量を減らすことが出来ます。

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