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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

「気」「血」「水」の基礎と漢方外来/「気」「血」「水」の具体的な異常と漢方薬について

2020年9月3日放送2020年9月10日放送

2020年9月3日放送

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2020年9月10日放送

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「気」「血」「水」の基礎と漢方外来(放送内容 資料はこちら

皆さんは「」「けつ」「すい」という言葉をお聞きになったことがありますか。東洋医学ではこれらを大切に考えています。
「気」とは、生きていくための肉体的、精神的なエネルギーです。「血」とは、身体の中を流れる赤い液体、いわゆる血液とその中の栄養と考えています。「水」とは、身体の中を流れる血液以外の液体、リンパ液や消化液、尿などのことです。

「健康な状態」「元気な状態」というのは、この三要素が過不足なくバランスを保ち、スムーズに巡っている状態です。
漢方外来では、この「気」「血」「水」の3要素がそれぞれどのような状態なのか、またお互いにバランス良く保たれているのかなどを判断し、その状態を改善するのに適した漢方薬を選んでいます。

また、漢方薬を選ぶのと同時に普段の生活を細かくチェックしています。
具体的には、食事はバランス良くとれているか、排尿排便に問題はないか、睡眠時間や眠りの質に問題はないか、定期的に運動はしているか、ストレスの具合や心の状態、また仕事や家庭の様子などです。
ご本人は気付いていないけれども、実は日々の生活習慣の中に、体調の悪さの原因があったり、症状の悪化を助長している原因があったりすることもあります。

例えば、疲れやすい、だるいと訴える方がそもそも睡眠不足で十分な休息が取れていないとか、身体が冷えると訴える方がファッション優先で薄着していたり、冷たいものを好んで摂っていたり、また、むくみがひどいという方が味の濃いものや塩分の多いものを摂取している、などということも少なくありません。

漢方外来では、「養生」といって本来あるべき健康な状態を維持することを大切に考え、日常の生活習慣の中に改善すべき点がないかを見直した上で、漢方薬の処方を行っています。

「気」「血」「水」の具体的な異常と漢方薬について(放送内容 資料はこちら

前回例に出した、疲れやすい、だるいといった症状は「気」が不足した状態で、「気虚ききょ」といって、他には、声に張りがない、目に力がない、やる気が出ない、横になりたい、身体が冷える、風邪を引きやすいなどの症状が見られます。漢方薬としては「補中益気湯ほちゅうえっきとう」等が使われます。

気滞きたい」というのは、「気」がうまく巡らずに滞っている状態です。気持ちが落ち込む、ため息が多い、喉が詰まる、お腹が張るなどの症状が見られます。漢方薬としては「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう」等が使われます。

気逆きぎゃく」というのは、「気」の働きが不安定になり、身体の上方に突き上がっている状態です。頭や顔ののぼせやほてり、眩暈や動悸、イライラなどの症状が見られます。漢方薬としては「苓桂朮甘湯りょうけいじゅつかんとう」等が使われます。

血虚けっきょ」というのは「血」が不足している状態です。青白い顔色、肌につやがなく乾燥気味、脱毛が多い、爪が傷つきやすい、目がかすむなどの症状が見られます。漢方薬としては「四物湯しもつとう」等が使われます。

瘀血おけつ」というのは、「血」が巡らずに滞っている状態です。末端の冷え症や下腹部痛、シミや静脈瘤、月経痛や月経時の血塊、下腿の毛細血管の拡張などの症状が見られます。漢方薬としては「桂枝茯苓丸けいしぶくりょうがん」等が使われます。

水滞すいたい」というのは、身体の中に「水」の偏りがあり、上手く巡っていない状態です。浮腫や頭痛、眩暈や排尿の異常などの症状が見られます。漢方薬としては「五苓散ごれいさん」等が使われます。

三要素の異常は複数絡み合って存在することもあり、例えば、「血虚」と「水滞」があれば「当帰芍薬散とうきしゃくやくさん」、「気虚」と「血虚」があれば「十全大補湯じゅうぜんたいほとう」といったように、全体を捉えて適した漢方薬を選択します。

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