会員専用ページ会員専用ページのご案内
文字の大きさ

ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

冬のウイルス性胃腸炎/ロタウイルスワクチン

2020年10月15日放送2020年10月22日放送

2020年10月15日放送

閉じる

2020年10月22日放送

閉じる

冬のウイルス性胃腸炎(放送内容 資料はこちら

冬のウイルス性胃腸炎は、ロタウイルスやノロウイルスなどによって、人から人へうつる病気です。

患者の便や嘔吐物には大量にウイルスがいて、これに触れた手を介して口から体に入って感染します。ノロウイルスでは、ウイルスに汚染された二枚貝から食中毒を起こすこともあります。
流行時期は、ノロウイルスは12月から3月ごろ、ロタウイルスは1月から春先がピークとなります。

症状は、感染から半日から2日で突然の発熱や嘔吐、続いて色の薄い水のような下痢便になります。
発熱や嘔吐は1〜2日で治まり、下痢は1週間ぐらいで良くなりますが、嘔吐が続き、脱水が強い時は、点滴や入院が必要となります。

診断のためにウイルス抗原検査をおこなうこともありますが、抗ウイルス薬はなく、治療は対症療法のみなので、検査をせずに症状で診断して治療する場合も多いです。

治療のため、医療機関では解熱剤や整腸剤などを処方しますが、家庭での水分補給がなにより大切です。吐き気が落ち着いてきたら、水分を少しずつ飲ませます。経口補水液があればなお良いでしょう。
吐き気が続き、元気がなくなったり、顔色が悪くなったり、唇が乾いておしっこが少ないときは、脱水症が疑われますので、早めにかかりつけの小児科を受診してください。

感染予防のためには、こまめな手洗いが重要です。また、便・吐物の処理や床などの消毒には次亜塩素酸ナトリウム溶液が有効です。アルコールにも、ある程度消毒効果がありますので、次亜塩素酸ナトリウムが使いにくい、手指や金属の消毒に使用できます。

今年は新型コロナウイルス感染症対策で、みなさん手洗いを徹底していますから、ウイルス性胃腸炎はあまり流行しないかもしれませんね。

ロタウイルスワクチンについて(放送内容 資料はこちら

令和2年10月からロタウイルスワクチンが赤ちゃんの定期予防接種に加わります。

ロタウイルス胃腸炎は、「白色便性下痢症」とも呼ばれ、赤ちゃんのウイルス性胃腸炎の代表格です。
感染から1日・2日で発症し、発熱と共に激しい嘔吐と下痢を繰り返します。重症化すると脱水症状などで点滴や入院治療が必要となることもあります。まれに神経合併症である脳炎や脳症を起こして後遺症を残すこともあります。
発展途上国では多くの乳幼児がこの胃腸炎で死亡しています。
また、感染力が非常に強いため、しばしば家族にも感染します。

今のところ、このロタウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、下痢・嘔吐・脱水・発熱に対する対症療法を行ないます。過去には有効な予防薬はありませんでしたが、平成23年から24年にかけて日本でも製造販売が承認されたワクチンの接種により感染の予防や軽症化が出来る様になりました。

日本で発売されているロタウイルスワクチンは、2回接種タイプのロタリックスと、3回接種タイプのロタテックの2種類です。予防効果は同等ですが、1回目と2回目以降で違う種類のワクチンを使用することはできません。

ロタウイルスワクチンの効果ですが、ロタウイルスワクチンが広く接種される様になって、冬場のこどもの胃腸炎での入院が減ってきています。3万円ほどかかる接種費用が普及のネックでしたが、無料の定期接種になることで、より一層の効果が見込めます。

ロタウイルスワクチンを接種後に注意すべき副反応として腸重積症があります。
内服後3週間は、腸重積症の初期症状である不機嫌・嘔吐・血便に注意して、そうした症状が見られたら早めにかかりつけの小児科を受診してください。

みんなの健康ラジオ 放送一覧へ戻る