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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

放射線診断医とは

2020年11月26日放送2020年12月3日放送

2020年11月26日放送

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2020年12月3日放送

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放射線診断医とは?(放送内容 資料はこちら

皆さんも多くの方が内科、外科などのように、放射線科という診療科があることはご存じと思います。
しかし私のような放射線診断医というと、あのレントゲンを撮ってくれた人かな?とか、仕事の内容についてはご存じの方は少ないのではないかと思われます。

そもそも放射線科の医師というのは主に放射線を取り扱う診療科の医師ということで、放射線を放出する放射性物質などを使ってがんを治療したり、放射線の一種であるX線を用いていわゆるレントゲン撮影された画像を診断(読影と言います)したり、血管造影といってX線を出しながら、血管内にカテーテルというプラスチックの細い管を入れ、造影剤という薬を流して血管の動画を撮影して、病気を診断したり、治療する医師でした。

しかし医療機器の発達に伴い、CT、MRI、その他、いわゆるPETといわれるような装置などが出現してからは、それらの検査数は増え続ける一方で、とてもこれらの仕事をすべて同じ医師がすることは困難な状況になってきました。そこで、放射性物質などを用いてがんを治療する放射線治療医と、レントゲン、CT、MRI、PETなどを読影したり、カテーテルを使って血管内治療を行う(IVRと言います)放射線診断医と役割が分担されていきました。

私が放射線科を選んだ頃はまず放射線科に入って、それから治療医になるのか診断医になるのか決めていた時代でしたが、今では放射線治療科、放射線診断科と分かれてきており、最初からどちらを専門とするかを決めることが多くなっています。
ちなみにレントゲン撮影を行う人は診療放射線技師といい、放射線診断医とは異なった専門職の方です。

次回は放射線診断医の仕事内容について、少し詳しくお話させていただきます。

放射線診断医の仕事は?(放送内容 資料はこちら

仕事の基本となるのはレントゲン、CT、MRI、PETなどの画像診断です。これは様々な診療科の先生がオーダーしたこれらの検査を、我々放射線診断医が診断することです(読影と言います)。
皆さんがこれらの検査を受けてその結果の説明を受けるときに、主治医の先生がレポートを見て説明しているかもしれませんが、そのレポートを作成しているのが我々ということになります。

読影は全ての診療科の先生がオーダーした画像を診断することになるので、それこそ頭のてっぺんから足の先までの解剖と、最新の病気の知識がないとできません。さらにその画像だけで診断するのではなく、その患者さんの症状や、年齢、性別、採血結果、他の検査結果、過去にどのような病気をしたかとか、全てのデータを総動員して総合的に診断を行う極めて専門性が高いものです。

その他、カテーテルを用いた血管内治療(IVRと言います)を行う医師もいます。読影と両方行う医師が多いですが、専ら読影のみをする先生や、専らIVRを行う先生もいます。

私もよくIVRを行うのですが、例えば交通事故で骨盤骨折を起こし、出血で命の危険があるような患者さんに、カテーテルを用いて血管内から止血をして治療したりします。その他にも逆に詰まった血管を開いたり、CTを使いながら腫瘍の組織をとってきたり、実に様々な手技があります。

実はこのようなIVRを行う医師はほとんどが全身の解剖の知識が豊富な放射線診断医であり、椅子に座ってじっくりと読影だけを行うのみでなく、一刻を争う救命治療を行うといったような側面もあります。

皆さまにはこのような縁の下の力持ち的な放射線診断医の仕事を知っていただければ幸いと思います。
ありがとうございました。

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