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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

こどもののど/耳鼻咽喉科と新型コロナウイルス感染症

2021年1月7日放送2021年1月14日放送

2021年1月7日放送

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2021年1月14日放送

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こどもののど(放送内容 資料はこちら

大人も子供も、のどは空気や食べ物の通り道であり、また声を出すところです。呼吸や咀嚼、嚥下、発声などは色々な神経や筋肉が綿密に協調して働いています。

子供に多いのどの異常は、異物と外傷です。異物の代表が魚の骨で、扁桃腺に刺さってしまうことが多いです。口を開ければ見えるので、すぐ取れることもありますが、扁桃腺の裏面やのどのもっと奥に刺さっていると、内視鏡を使って取ることになるため、大変です。

また歯ブラシ、割り箸、アイスの棒などを咥えたまま転倒するとのどに傷がついてしまうことがあります。よほど尖ったものでなければ命にかかわることはありませんが、血の塊ができたり化膿したりする場合には入院や手術が必要になります。異物や外傷を防ぐには、親御さんの注意が大切です。

扁桃腺や鼻の奥のリンパ組織であるアデノイドが大きいと、鼻詰まりのために空気の通り道が狭くなり、いびきや無呼吸を生じることがあります。無呼吸が強い場合、どこが原因かを確かめたうえで扁桃腺やアデノイドの手術をすることがあります。手術によって無呼吸が改善したり、ご飯を食べるスピードが速くなったりします。

子供の声がかすれた場合、世帯結節が原因の事が多いです。運動会や合唱などのイベントが影響し、大声を出す、長い時間しゃべる、無理な音程で歌うといったことが原因で声帯にタコができます。

通常、イベントが終わるか、数か月経過観察することで改善します。早く治すためには、声を酷使しないことが大事です。結節が大きい場合や芸能活動など社会活動に支障が出る場合、ご両親の強い希望などで手術することもあります。手術のあとは、少なくとも1週間ほどしゃべらないようにする、声帯の安静が必要になります。

耳鼻咽喉科と新型コロナウイルス(放送内容 資料はこちら

耳鼻咽喉科の診察では、鼻やのどを診察するため、マスクを外す必要があります。そして鼻やのどの処置をすると、くしゃみや咳が出て飛沫が発生します。また聴力検査を行う部屋は防音室のため気密性が高いです。つまり医療者と患者さんとが濃厚接触となる危険性が高いことになります。

そのため、処置の際にはN95マスク、フェイスシールド、手袋、ガウン、帽子など重装備をする必要があります。また毎回の診察後に椅子を拭いたり、換気を良くしたりすることで次の患者さんへの感染を予防することが必要です。

日本耳鼻咽喉科医会の調査によると、コロナのために耳鼻咽喉科を受診する患者さんの数は減少しており、花粉症のシーズンである3月でも6割の診療所で昨年度の75%以下、1割は半分以下でした。さらに4月は5割の診療所で75%以下、4割で半分以下でした。
私が勤務している横浜労災病院でも、上半期の病院全体の手術件数は昨年度より二割減少、耳鼻咽喉科では三割減少していました。

患者さんが減った理由は、軽い症状や命にかかわらない病気の患者さんが受診を控えたためと考えられます。
しかし注意してほしいのは、耳鼻咽喉科でも咽頭がんや喉頭がん、舌がんのように命にかかわる病気があります。
横浜労災病院ではこのような患者さんの数は昨年度と変わりませんし、むしろ進行してから受診される方が増えています。
声がかすれる、のどの奥が痛い、口内炎がなかなか治らないなどの症状はなるべく早く受診する必要があります。当たり前のことですが、がんは進行してから治療するよりも、早期から治療した方が治る確率は高くなります。

一人一人が感染対策に注意しながら、これまで通り、耳、鼻、のどの症状があれば耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

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