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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

前立腺がんの現状と治療

2021年2月4日放送2021年2月11日放送

2021年2月4日放送

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2021年2月11日放送

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2月4日放送内容(放送内容 資料はこちら

男性が罹患するがんは10年前までは胃がんや大腸がん、肺がんに次いで前立腺がんは4位だったのですが、最新の全国がん罹患データ(2017年)によると前立腺がんが最多になりました。
生涯罹患リスク、つまり一生の間にその病気にかかる可能性は10.8%で実に9人に一人の男性が前立腺がんに罹患するという統計が出ています。

しかしながら5年生存率は99.1%と高く、すべてのがんの中で一番高くなっています。
つまり「かかる可能性が高いが治せるがん」と考えていいと思います。

そこで前立腺がんと診断されたときにどのような治療があるか説明したいと思います。
まずは治療方法には大きく分けて、手術、放射線療法、ホルモン療法があります。

手術は、前立腺全摘術といい膀胱と尿道の間にある前立腺と精嚢を切除して、さらに膀胱と尿道をつなぎ合わせるようにします。狭い骨盤内で細かい処置をするために技術と経験が必要な手術でした。

以前は開腹で行っていましたが、近年は腹腔鏡を用いた手術が導入され、最近はダヴィンチというロボットを用いたロボット支援手術が主流になってきました。
ロボット支援手術は傷口が小さくすみ、出血が少ないために術後の回復が早いことや術後の尿失禁の早期改善が期待されるというメリットがあります。

次回は手術以外の治療法についてご説明したいと思います。

2月11日放送内容(放送内容 資料はこちら

手術以外の治療方法として放射線療法があります。
放射線療法には体の外から前立腺がんに照射する外照射療法と、前立腺の中に放射線の小線源を埋め込む組織内照射療法があります。

早期がんに対する治療成績は手術とほぼ同じと考えていいと思います。
体への侵襲は少ないため、高齢の方や合併症を持っている方には推奨されます。
また2018年には外照射治療よりも短期で効果的に照射できる重粒子を用いた重粒子線治療も保険適応になりました。

手術・放射線療法以外の治療としてホルモン療法があります。
前立腺がんは男性ホルモンの影響を受けて進行するので、注射や内服薬を使い前立腺に作用する男性ホルモンをブロックして、がんの活動性を抑える治療です。
1~3か月毎にお腹に皮下注射をし内服薬を継続したり、間欠的に治療を行うこともあります。

特殊な医療機器は不要ですので、お近くの泌尿器科のクリニックでも治療ができます。
高齢の方や進行性の前立腺がんの方に推奨されます。
ただし徐々に効果が低下することがありますので、専門医による定期フォローは必要となります。

以上が主な前立腺がんに対する治療になりますが、いずれの治療もメリット・デメリットがありますので、主治医とよく相談のうえで治療を選択することが必要です。

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