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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

帝王切開

2021年4月1日放送2021年4月8日放送

2021年4月1日放送

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2021年4月8日放送

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4月1日放送内容

帝王切開術とは、何らかの理由で経腟分娩ができないか、急いで胎児を出さないと胎児あるいは母体に危険が及ぶ場合、お腹を開き子宮に切開を入れて児を娩出させる手術のことをいいます。様々な理由で今では日本では5人に1人の方が帝王切開で出産をされています。

お産が帝王切開術となる場合には二つのパターンがあります。
一つは予定帝王切開です。以前のお産が帝王切開だったり、児が骨盤位だったり、前置胎盤だったりする場合は、あらかじめ予定を立てて帝王切開となります。
もう一つは緊急帝王切開です。分娩が進行しなかったり、母児の状態が悪く一刻も早く児を娩出し、妊娠を終わらせないといけない場合は緊急で帝王切開術が行われます。

帝王切開は実際にどのように行われるかを説明します。
まず麻酔をします。一般的には効果が早く現れ下半身だけに効き、手術中意識のある脊髄くも膜下麻酔を行います。緊急の場合は全身麻酔になることがあります。
硬膜外麻酔は、硬膜外腔というところに細い管を通し、その中へ麻酔の量を調整して入れることができます。
長時間使うことができるので、無痛分娩から帝王切開に変更の時や術後の痛み止め投与に使われます。

麻酔が効いたら手術開始です。
お腹の皮膚を切ります。恥骨の上2cmあたりを水平に切るのが『横切開』で傷痕が目立ちにくいため一般的です。
子宮を切開して手術を開始してから5分もたたずに赤ちゃんは生まれます。
あとは胎盤を出して子宮の切った部分を縫って出血を止めてお腹を閉じておしまいです。
だいたい40分から一時間くらいで終わります。
皮膚を縫うときは最近では溶ける細い糸を使うことが主流になってきています。より傷痕も綺麗に治りやすく、抜糸がないことも産後の負担が軽減されます。

4月8日放送内容

帝王切開は安全な手術とはいえやはりリスクはあります。
陣痛が発来する前に予定で帝王切開を行う場合、赤ちゃんが一時的に呼吸障害を起こすことがあります。

麻酔で足が動かなかったりベッドに横になっている時間が長いので、肺血栓塞栓症のリスクが経腟分娩に比べて高くなります。
最近では弾性ストッキングを着用したり『フットポンプ』を用いることで血栓を防ぐのが一般的です。
経過が良ければ翌日から体を動かし、できる限り早く歩行することが予防になります。
手術の翌日には食事が始まり歩けるようになります。

乳腺が張ってくるのは、経腟分娩よりすこし遅れますが数日で追いつきます。積極的に授乳したほうが子宮の戻りもよいです。助産師さんと相談しましょう。
創部の痛みは、術後2日ほどは動くのに支障がありますが、痛み止めの内服薬などでコントロールできると思います。

退院後は美容面からも傷のケアを行うとよいです。
いまは帝王切開の傷を目立たなくするテープやシリコンなどが販売されています。

基本的には次の妊娠時の分娩も帝王切開になります。次回妊娠時に普通分娩より前置胎盤子宮破裂の可能性が高くなります。

最後に「帝王切開の方がお産が楽」「陣痛に耐えていないから愛情が減る」などということはなく、どんな出産方法でも母親は命懸けで出産をしていますし、どんなに安産でも痛いし不安もあると思います。
決して楽な方法はなく1人1人頑張って出産をされています。
どんな出産にも不安や痛みが伴いますが、唯一手術として扱われる帝王切開について少しでもご自身もご家族も理解して出産に臨めると良いと思います。
生まれてくる赤ちゃんとの出産は一度きりです。素敵な出産を迎えていただければと思います。

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