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こどもたちの近視と予防について

2021年5月27日放送2021年6月3日放送

2021年5月27日放送

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こどもたちの近視が急増しています

学校の視力検査で0.3以下の子どもは、この過去40年間で約3倍になり、そのほとんどが近視といわれています。
日本の近視人口は8~9割と世界でも指折りに入ります。

今では近視の原因は遺伝とともに生活習慣が有力です。ゲーム機器やスマートフォンなどのデジタル機器を長時間、近くの距離で見続け、外遊びも少ないことなどで、誰もが近視発症のリスクを抱えているといわれています。

近視は遠くが見づらくなり、目を細めたり、テレビに近づいて見てしまうようになります。近視は眼球が前後に伸びることが殆どの原因です。一度、延びた眼球は元には戻りません。つまり、近視は治らないのです。

2019年の東京都内の調査では、小学生の76.5%、中学生の94.9%が近視でした。その近視の中にはさらに進行した強度近視が1割を超えていました。強い近視は将来、近視性黄斑変性症、緑内障、網膜剥離などの目の病気が生じる可能性が高くなりますので、予防することが重要です。

2018年に台湾の小学生693人を対象とした近視の研究では、外遊びを1週間で11時間行ったグループと、行わなかったグループを1年後に調べた結果、外遊びのグループは近視の進行が少なかったことが確認されました。

外遊びなどの野外活動が近視進行の予防効果があることは、晴天時の野外活動は網膜が太陽光線をうけてドーパミンが増え、眼球が前後に伸びることを抑制するという説もあります。また、2017年に慶應大学眼科で行ったヒヨコを用いた動物実験と臨床研究で、紫外線の中の波長が360~400nmのバイオレット光が眼球の伸びを抑制することを世界で初めて発見しました。

近視の予防法

今年4月から、全国の小中学校において、一人一台のデジタル端末が導入され、デジタル教科書として使用されております。日常で使用しているスマートフォンやゲーム機などに加え、学校でデジタル教科書を使用することで、さらに近視が進行することが心配されています。
今回は近視進行の予防法とデジタル端末を使用する時に大事な七つの注意点をお話します。

  • 一つ目は、1日にできれば2時間は、外で遊ぶようにしましょう。
  • 二つ目は学校の休み時間はできるだけ外で遊ぶようにしましょう。
  • 三つ目は本やデジタル端末は目から30cm以上離して見ましょう。20cmでは目の調節する筋肉が緊張して疲れやすくなります。
  • 四つ目は読書、デジタル端末を使用する時に子どもは顔・体をねじったりしますが、網膜に映る距離が変わるので視力の左右差が生じる可能性があります。よい姿勢で見ましょう。
  • 五つ目は読書、デジタル端末の使用時間は30分したら20秒以上遠くを見て目を休めましょう。
  • 六つ目は寝不足などがないように規則正しい生活をこころがけましょう。
  • 七つ目は正しいメガネを作るには眼科専門医が診断したメガネの処方箋を持って、眼鏡店でメガネを作り、定期的な診察を受けましょう。

遠くがよく見えるメガネが目によいと思いがちですが、過矯正といって度数が強いメガネは疲れやすく近視がすすみやすくなる傾向があります。特に子どもは目の調節が不安定で度数が変わりやすいのでメガネの作成は難しいのです。眼科では調節麻痺剤の点眼薬を使用するなど過矯正を防ぎ適切なメガネを処方しております。

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