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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

腰椎椎間板ヘルニア/殿皮神経障害

2021年6月10日放送2021年6月17日放送

2021年6月10日放送

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2021年6月17日放送

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腰椎椎間板ヘルニアについて

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にある椎間板という骨をつなぐクッションの役割をしているものの一部が飛び出して神経に当たり、腰痛や足の痛み、しびれなどの症状が出る病気です。
背骨の後ろ側には脊柱管という脳から直接つながる太い神経の通り道があり、この中には脳と足をつなぐ神経が通っています。ここに椎間板が飛び出して神経が押されると、その神経が伸びて行った先の足の痛みやしびれを感じたり、足が動き難くなったりする症状が出ます。

症状としては、主に腰痛や足の痛み・しびれ、動かしにくい、力が入りにくいという症状が出ます。神経が非常に強く押されている場合にはおしっこやお通じが出にくい、漏れてしまうという症状が出ることもあります。

椎間板ヘルニアの多くは数か月で自然消失し、症状が軽くなると言われています。
症状が出てから間もない場合には、痛み止めや炎症を抑える薬、トリガーブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロック、理学療法が中心になります。

症状が長く続く場合や、痛みやしびれが強くて日常生活や仕事に支障がある場合には、手術を検討することになります。最近では一般的な椎間板切除術のほかに、メスを入れずに注射針で椎間板内髄核中の主な保水成分プロテオグリカンを構成するグリコサミノグリカンのみを分解する、ヘルニコアという椎間板内酵素注入療法なども開発されています。

また、おしっこやお通じが出にくい、漏れてしまうという症状が出ている場合には緊急に手術が必要です。どちらも放っておくと後遺症として残る可能性が高くなりますので、これらの症状があればすぐに病院を受診してください。

腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に診断されがちの殿皮神経障害の話

前回は腰痛や足の痛みなどを呈するメジャーな疾患である腰椎椎間板ヘルニアについてお話ししましたが、今回はその腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などと同じような症状が出て、それらの疾患と片付けられがちな殿皮神経という末梢神経障害についてお話しします。

殿皮神経と聞いても大半の方はご存じないと思いますので簡単に説明しますと、腰椎椎間板ヘルニアは脳から足先までに至る神経の中で腰椎に分布する神経が圧迫されることによって起きる神経障害なのに対し、殿皮神経障害は腰椎の少し末梢に位置する腸骨稜という腸骨の上の部分や仙腸関節周囲に分布する殿皮神経という末梢神経が圧迫されることによって起きる神経障害です。

1989年Maigneらによって、上殿皮神経が腸骨稜を乗り越える際に通過するosteofibrous tunnelという靭帯と骨膜に囲まれた部分での末梢神経絞扼が腰痛の原因になることが報告され、最近では日本国内でもこの疾患が注目され、神経ブロック注射や神経絞扼解除術が行われています。

殿皮神経障害の臨床症状ですが、この殿皮神経は、上殿皮神経は主に第1腰髄神経から第5腰髄神経から分岐することが多く、中殿皮神経は仙髄神経から分岐することが多いため腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの好発部位と重なります。腸骨稜および仙腸関節周辺の絞扼部位での圧痛に加え、下腿に及ぶ痛みやしびれ症状がみられることが多く、症状が腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と非常に似ており適切な診断が必要です。

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