会員専用ページ会員専用ページのご案内
文字の大きさ

ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

体に優しいがんの放射線治療/前立腺がんの放射線治療

2021年6月24日放送2021年7月1日放送

2021年6月24日放送

閉じる

2021年7月1日放送

閉じる

体に優しいがんの放射線治療(放送内容 資料はこちら

がんは現在、死因の第一位で年々増え続けており、2人に1人はがんに罹り、3人に1人はがんで亡くなります。
がんの治療は、手術と放射線治療、抗がん剤などによる薬物治療の3つが大きな柱となります。
中でも、放射線治療は手術と同じ局所の治療に分類されるものの、切らずに治すことができ、また薬物治療のような全身の治療と違って副作用が限定的なため、体への負担が少ないという長所があります。それでいて、手術に匹敵する治療効果が上げられるものも多く、高齢者や重い合併症をお持ちで手術のリスクが高い方などにも、比較的安全かつ完全に治す治療として選択することができます。
実際のところ、高齢化が著しい我が国においては、放射線治療を受ける方が毎年増加の一途をたどっています。

放射線治療には、外から放射線でがんを狙い撃ちする外照射と、放射線が出る物質をがんの近くに置いて治療する小線源治療があります。
がんの多くは外照射で治療され、リニアックと呼ばれる治療機器などが使われます。基本的に、外照射は1日1回、平日毎日行われ、対象となるがんの種類により、1回~40回程度まで治療回数は様々です。
テクノロジーの進歩とともに、近年、新しい放射線治療機器や照射技術が開発され、がんを正確に狙い撃ちすることができるようになりました。これにより、治療効果の向上だけでなく、より副作用の少ない体に優しい治療が可能となっています。

また、放射線治療は、がんの早期から終末期に至るまで、あらゆる時期で使えるという利点があります。
完全に治す根治治療から、がんが引き起こす痛みなどの症状を和らげる緩和治療まで、幅広く利用できるのも放射線治療の良いところです。

前立腺がんの放射線治療(放送内容 資料はこちら

最新の統計では、男性のがんの罹患率第一位は前立腺がんで、高齢者に多いがんのため、高齢化とともに年々増加傾向にあります。
前立腺がんの治療法には、手術、放射線治療、内分泌治療(ホルモン治療)などがありますが、内分泌治療は徐々に治療効果が減弱する可能性があるため、完全に治す根治治療には手術か放射線治療が選択されます。
手術と放射線治療の治療成績はほぼ同じで、高齢者や重い合併症をお持ちの方には手術はリスクが高いため、放射線治療が好んで用いられます。

前立腺がんの放射線治療には、外照射か小線源治療が行われます。
外照射は体の外から前立腺を放射線で狙い撃ちする非侵襲的な治療法です。通常、1日1回、平日毎日、4~8週間ほどかけて治療を行います。近年、放射線治療機器や照射技術は目覚ましい進歩を遂げ、以前と比べ正常臓器の被ばくを抑え、副作用を大幅に減らすことができるようになりました。
一方、小線源治療は、放射線が出る小さな物質を前立腺内に埋め込む治療法で、当院では全身麻酔で行っています。3日ほどの入院が必要ですが、退院後すぐに社会復帰が可能です。
外照射と小線源治療のどちらを行うかは、患者さんの病状や希望によって決められます。また、当院では、再発のリスクの高い方に対して治療成績の向上を目指し、より効果的に高線量の放射線を照射できる外照射と小線源治療の両方を用いた併用療法を積極的に採用しています。

近年、テクノロジーの発展とともに放射線治療は飛躍的に進歩し、治療効果の向上と副作用の軽減をもたらしています。これから一層高齢化が進む社会において、体に優しい放射線治療が選択される機会は益々増えていくものと思われます。

みんなの健康ラジオ 放送一覧へ戻る