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お腹の弱い方のために/―過敏性腸症候群 診断・治療―

2021年7月8日放送2021年7月15日放送

2021年7月8日放送

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2021年7月15日放送

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お腹の弱い方のために -過敏性腸症候群 診断-(放送内容 資料はこちら

過敏性腸症候群(IBS)って何?

過敏性腸症候群はIBSとも呼ばれています。これは英語のIrritable bowel Syndromeの頭文字をとっています。国際基準ローマⅣ分類では「腹痛・下痢・便秘など便通の異常を伴う症候群」と定義されています。
分かりやすく申し上げますと、お腹の痛みや調子がわるく、それと関連して便秘や下痢などのお通じの異常(排便回数や便の形が異常)が数か月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。
大腸に腫瘍や炎症がないことが前提ですが、およそ10%程度の人がこの病気と言われています。

過敏性腸症候群の原因(病態)

過敏性腸症候群の原因(病態)としては、精神的なストレスに伴って敏感になっている場合と、お腹の中で知覚過敏の状態になっていて通常でも感じない刺激にも反応してしまうという場合があります。
最近注目されているのは、腸内細菌です。腸内細菌を標的とした治療が試みられています。腸内細菌の構成は、幼少期にある程度決まると言われていますが、劇的に食生活が変わったりすると、影響を受けることが考えられます。

過敏性腸症候群の診断

過敏性腸症候群の診断は症状を元に行われます。
また必要に応じて内視鏡検査や血液検査、CT検査などを行います。
がんや炎症性腸疾患など内視鏡で分かるような疾患を有していないにも関わらず、症状があることが、診断のポイントです。他に可能性のある疾患を除外していった上で、症状を元に診断と評価を行います。

過敏性腸症候群の種類

便秘が主体の「便秘型」、下痢が主体の「下痢型」、便秘と下痢が混合している「混合型」、どちらの症状が優位とも言えないが腹痛がある「分類不能型(非特異型)」の4つに分類されます。
具体的には今の症状と便の形状をブリストル便形状尺度という評価スケールを用いて評価という両方から4つに分類していくという流れになります。

自分自身で判断してしまうと…

下痢だからといって、自身の判断で下痢止めを服用したりすると危険なこともあります。
すぐに処置が必要な病気が隠れてしまったりする可能性もあります。
また、過敏性腸症候群の患者さんであっても、下痢と便秘を繰り返されている患者さんでは、便秘の方がメインの症状であることもあります。そのような場合、下痢止めを服用すると、症状の悪化を招くことになります。
危険な病気が隠れていないのか、どのタイプの過敏性腸症候群で、どのような処置が必要であるかは、かかりつけ医などに相談してください。

お腹の弱い方のために -過敏性腸症候群 治療-(放送内容 資料はこちら

過敏性腸症候群の治療①

何よりもまず生活習慣を評価し、改善の必要があれば、そこを改善していくことが重要です。
具体的には、「3食を規則的に取りましょう」「暴飲暴食、夜間の大食を避け、食事バランスに注意してみてください」「ストレスを溜めず、睡眠、休養を十分にとるように心がけてください」「刺激物、高脂肪の食べもの、アルコールは控えてください」。

過敏性腸症候群の治療②

生活習慣を改善しても症状がよくならない場合は、薬物治療を検討します。薬剤は症状に応じて選択します。
腹痛があればそれを緩和させるために鎮痙薬(腸の運動を抑制する薬)と下痢を抑える止痢薬を投与します。
便秘の薬は2つのタイプに分かれます。1つ目が便を柔らかくして排便しやすくする薬、もう1つが腸の動きを活発にして排便を促す薬です。便秘に対しては最近新しい薬が出てきており、治療選択の幅は広がっています。

過敏性腸症候群との付き合い方

過敏性腸症候群は、長い経過のある慢性の疾患であるという点がポイントです。
少しずついろいろな薬に変えて症状と付き合いながら、少しずつ改善していくことが治療には重要です。
いきなりすべての症状が改善することは難しいです。10あった症状を8、7に減らしていき、少しずつでも軽くしていく、長い目を持って付き合っていく病気だと思います。

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