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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

大人の気管切開とこどもの気管切開

2021年7月22日放送2021年7月29日放送

2021年7月22日放送

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2021年7月29日放送

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大人の気管切開(放送内容 資料はこちら

気管切開とは、文字通り気管を切開することです。呼吸や嚥下に問題があるとき、のどと肺との途中にバイパスを開けることを気管切開と言います。
気管切開を開ける理由として、長期間の人工呼吸器管理が必要な場合やのどの病気で呼吸がしにくい場合、嚥下障害のため誤嚥することが多く、気管内の吸引が必要な場合などがあります。
気管切開を行うと空気が声帯を通らないため、声が出ません。

大人が気管切開をするのは、生まれつきの病気が原因ではありません。脳梗塞や脳出血、交通事故、肺炎などで長期間の人工呼吸器管理が必要な場合に気管切開を行います。
一方、喉頭癌や咽頭がんなどの、のどの腫瘍やのどの風邪をこじらせて腫れてしまった場合は、空気の通り道が狭くなるため、気管切開が必要です。
呼吸の筋肉が衰える病気、例えばALSなどでも気管切開をすることがあります。

気管切開の方法は、皮膚、皮下脂肪、のどを動かす筋肉、甲状腺といった組織を切り開き、気管に孔を開けて専用のチューブを入れます。呼吸や嚥下の問題が解決すれば、声が出せるチューブに交換したり、気管切開そのものを閉鎖したりすることが可能です。
集中治療室で行われる方法として、皮膚を大きく切開せず、小さな切開で行うこともあります。

在宅で管理を行う場合、気管切開チューブが詰まらないようにすることが大切です。気管やのどの粘膜はバリア機能があり自然に綺麗になる機能がありますが、チューブにはありません。チューブの中を吸引したり加湿したりすることがとても重要です。
吸引するときはチューブよりも奥の気管粘膜を傷つけないよう注意が必要です。チューブは定期的に新しいものに交換していきます。チューブのサイズや角度、材質が適正かをかかりつけ医に診察してもらってください。

こどもの気管切開(放送内容 資料はこちら

呼吸や嚥下に問題があるとき、のどと肺との途中にバイパスを開けることを気管切開と言います。
気管切開を開ける理由として、長期間の人工呼吸器管理が必要な場合やのどの病気で呼吸がしにくい場合、嚥下障害のため誤嚥することが多く、気管内の吸引が必要な場合などがあります。
気管切開を行うと空気が声帯を通らないため、声が出ません。

大人と異なりこどもで気管切開をするのは、生まれつきの病気がほとんどです。
脳性まひや遺伝子の病気、生まれた時の体重が1kgにも満たないこどもの場合、人工呼吸器管理となるため気管切開が必要です。また、のどや首に生まれつきの腫瘍があり空気の通り道が狭い場合にも気管切開が必要です。

気管切開の方法ですが、こどもののどと大人ののどは別の構造です。作りが小さいこと、組織が柔らかいこと、触診で区別がつきにくいことなどから、より繊細な手術手技が必要です。
通常は体重が2.5kg程に成長してから手術します。皮膚、皮下脂肪、のどを動かす筋肉、甲状腺などの組織を切り開き、気管を切開して専用のチューブを入れます。将来的に閉鎖できることもありますが、数年から10年に及ぶ在宅管理を考慮する必要があります。

気管は軟骨の骨組みがありますが、こどもの軟骨は柔らかくチューブとぶつかることにより肉芽というポリープが出来やすいです。チューブを交換する際、気管切開の孔が狭くなり呼吸がしにくくなったりチューブが入れにくくなったり、出血したりします。大人よりも気管粘膜が傷つきやすいため、吸引の際にはより注意が必要です。
呼吸や嚥下の問題がなくなれば、声が出るチューブの使用や気管切開そのものを閉鎖することが出来ますが、大人よりも難しいことが多いです。また保育園や学校で気管切開のように医療ケアを必要とするお子さんを受け入れる準備はなかなか大変で、多くのご家族が苦労をされています。

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