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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

膀胱炎

2021年8月19日放送2021年8月26日放送

2021年8月19日放送

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2021年8月26日放送

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8月19日放送内容(放送内容 資料はこちら

膀胱炎とは主に細菌が尿道を介して膀胱内に入り、膀胱粘膜に炎症を起こすことです。主に基礎疾患のない単純性膀胱炎と尿路結石や腫瘍など基礎疾患が原因となりうる複雑性膀胱炎に分けられます。

まず単純性膀胱炎に関して、主に大腸菌や腸球菌などの直腸の常在菌が原因となることがほとんどです。これらの細菌は尿道を上行して感染を起こします。症状は排尿痛、残尿感、頻尿、血尿などです。
男性は尿道が20㎝くらいですが女性は3㎝くらいと短いです。よって女性のほうが膀胱炎になりやすいのが特徴です。

放置すると腎臓まで炎症が拡がり、熱発、背部痛、全身倦怠感がでたりします。まれに敗血症といって菌が全身にまわることで多臓器の機能不全を誘発し、重篤な状況に陥ることもあります。

排尿時の中間の尿を顕微鏡で観察して細菌感染の指標である白血球、赤血球を同定することで診断します。どのような菌がいるか培養してその結果をもとに適切な抗菌剤を選択します。

治療は適切な抗菌剤を3日から5日間内服することでほとんど改善します。ただし症状が長引き、抗菌剤を継続したり、変更したりしても改善しない場合、他の原因となりうる疾患が存在する可能性がありますのでご注意ください。

しかし治癒直後は再発しやすいので治癒後1週間は飲水を多くして排尿回数を増やすなどの体調管理は大事です。
日頃の再発予防としては排尿を我慢しない、体を冷やさない、体調管理をすること、陰部の衛生状態を保つ、例えばおりものシートや尿もれパットなどのこまめな交換、性交渉後はすぐに排尿して細菌を洗い流すことなどです。

8月26日放送内容(放送内容 資料はこちら

複雑性膀胱炎とは単純性膀胱炎とは違って基礎疾患が原因となっておこる膀胱炎です。
例えば尿路結石、悪性腫瘍が原因となるものや尿路の閉塞を解除するために留置する尿管ステント、尿道カテーテルなどといった管に付着する細菌によっておこるものなどがあります。

原因菌としてはやはり大腸菌などの腸内の常在菌が多いです。器質的疾患を持っている方が多いのでやはり高齢者に多い傾向にあります。その方々は免疫力が落ちているので、緑膿菌やMRSAという弱くて普段は健常人には悪さをしないけれど、いざとなると抗菌剤に効きにくい細菌も原因になることもまれではありません。

治療はまず原因となっている尿路結石や悪性腫瘍などの器質的異常を治すことが大切です。それが不可能な場合は症状に応じた加療をしつつ、その状態を悪化させないことです。

大事なのは慢性的に尿検査で膀胱炎の所見があっても重篤な症状がない限り不必要に抗菌剤を使用しないことです。漫然と抗菌剤を使用すると菌がその抗菌剤に効かなくなるように遺伝子レベルで変化してしまうからです。

我々医師は日頃から尿などの検体を培養して、どのような菌がいて、それに対してどのような抗菌剤が有効なのかを試験管レベルで確認しています。
みなさんは日頃から飲水を多くして尿で汚れを洗い流すようにしましょう。ステント、カテーテルなどを挿入している方はまめに受診してまめに交換したり、しっかり洗浄してもらうよう心がけてください。

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