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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

飛蚊症

2021年12月9日放送2021年12月16日放送

2021年12月9日放送

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2021年12月16日放送

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12月9日放送内容(放送内容 資料はこちら

飛蚊症は突然目の前にゴミや糸くずが見えたり、虫が飛んでいるように見える症状です。
比較的高齢者に多い病気ですが、近視が強い場合には目の奥行きが長いため硝子体の萎縮が早期に起こりやすく、若年者でも起こることがあります。ほとんどの場合は生理的なものですが、中には裂孔原生網膜剥離や硝子体出血のような重大な病気から起こる飛蚊症もあり、放置することで失明する危険性があります。

飛蚊症は、眼球にある硝子体中になんらかの原因で濁りができたために起こる症状です。その濁りが残像のようにして目の前に見えています。青空や明るい部屋で白い壁などを見るとはっきり見えますが、暗いところでは見えません。実際に目の前にあるわけではありませんから、目を動かすと一緒に動いて見えます。
また、濁りの大きさや形、数によって見え方は人それぞれ異なります。形がいびつであったり、大きいからといって重病とは限りません。逆に病的なものの特徴としては、数えられないほど数が多かったり、広範囲であることが挙げられます。

飛蚊症を起こす原因としては、ご年齢による変化で硝子体が萎縮するために急性後部硝子体剥離が起き、硝子体中に垢みたいな濁りが生じることで感じる生理的な飛蚊症がほとんどです。
また、硝子体が萎縮して網膜から剝がれる際に、硝子体が網膜を引っ張ることによって、チカチカ光ったように感じる光視症を伴うこともありますが、正常な網膜であればあまり問題にはなりません。
しかし、糖尿病や高血圧などの全身疾患から起こる硝子体出血や網膜裂孔など裂孔原生網膜剥離の前兆で起こる病的な飛蚊症があり、失明の原因となるため早急な眼科受診が必要です。

12月16日放送内容(放送内容 資料はこちら

飛蚊症が生じた患者さんの中で約80%に疾病等はありませんでしたが、約3%に裂孔原生網膜剥離、約7%が網膜裂孔、約10%が硝子体出血やぶどう膜炎等による硝子体混濁によるものがあります。
飛蚊症の原因として最も急を要するのは網膜裂孔です。網膜格子状変性など網膜に弱いところがあると引き起こしやすく、放置すると裂孔から液状化した硝子体が入り込み、早ければ数日で裂孔原生網膜剥離を起こす可能性があります。また、急性後部硝子体剥離に伴う硝子体出血には生理的なものと病的なものがあり、生理的なものであれば出血は少量のことが多く経過観察でも改善しますが、糖尿病や高血圧などに起因する糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症からの硝子体出血は通常多量であり、出血にさえぎられて高度な視力低下を引き起こします。

飛蚊症を自覚したら早急に眼科を受診し、眼底検査を受けて治療が必要かどうか精査してもらうことが大切です。
受診時に網膜裂孔がなくても網膜格子状変性があれば、いずれ裂孔原生網膜剥離を起こす可能性があります。そういった場合には飛蚊症が増えた時点で再度眼科受診をしてください。
裂孔原生網膜剥離は一旦起こってしまうと手術しか治療方法がありませんが、網膜裂孔だけであれば網膜光凝固術を外来で受けることで、裂孔原生網膜剥離への進行を防ぐことができます。
したがって、飛蚊症を自覚したら早急に眼科を受診することが大切です。網膜裂孔以外でも早期診断治療が大切で、病的な硝子体出血が原因の場合は早期治療を受けることで、糖尿病網膜症や高血圧による網膜静脈閉塞症などに起因する失明リスクを減らすことが出来るかもしれません。

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