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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

頭が痛い時にCTをとりますか?/転んだ時にCTをとりますか?

2022年1月20日放送2022年1月27日放送

2022年1月20日放送

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2022年1月27日放送

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頭が痛い時に、CTをとりますか?(放送内容 資料はこちら

皆さんは病院やクリニックでCT検査を受けたことがありますか。CTは、体の中の様子を断面や立体で表示できる、とても便利な画像検査です。頭が痛い時に、このCT検査をどう利用したらよいか、お話します。

頭痛を起こす病気はいろいろあり、一番多いのは片頭痛です。その他にも、脳出血やくも膜下出血など命にかかわる病気もあり、CTで診断できる病気があります。
しかし、頭が痛いからといって、むやみにCTをとることはおすすめできません。

CTは頭の中の様子を知ることができ、特に、出血している病気を見つけるのが得意です。しかし、CTはエックス線を利用しているので、少なからず放射線被ばくをします。
実は日本は、世界中で一番多くのCT装置がある国です。そのおかげで、いろいろな場面でCTをとることができ、質の高い医療を提供できているのですが、その反面、国民全体の医療による放射線被ばく量が多いことが問題になっています。

検査をお勧めできないもう一つの理由は、頭が痛いだけの患者さんでは、CTで病気が見つかる確率がとても低いからなんです。放射線被ばくや検査費用と、病気が見つかる確率を天秤にかけると、お勧めはできないということなのです。

もちろん、今まで経験したことのない激しい頭痛、急激な頭痛など、普段と違う痛みを感じた場合には、CTをとるべきでしょう。また、意識が悪い、熱があるなど、頭痛以外の症状がある時も、CTが必要となるでしょう。

頭が痛いからと言って、むやみにCTをとることはお勧めできない理由、お分かりいただけたでしょうか。
主治医の先生にCTをとる必要があるかどうかご相談ください。

頭をぶつけた時に、CTをとりますか?(放送内容 資料はこちら

私たちは、いろいろな場面で頭をぶつけます。転んだり、高いところから落ちたり、交通事故だったり。たんこぶだけで済めばよいのですが、ひどいと頭蓋骨を骨折したり、頭の中で出血を起こしたりします。
そんな時に、頭の中の様子を輪切りにした画像ができるCT検査は、とても頼りになります。
それでは、頭をぶつけたら、どんな時でもCTをとっておくべきか、というとそうでもありません。

なぜならCTはエックス線を利用した検査ですので、少なからず放射線を被ばくするからです。もちろん、意識を失った、受け答えがはっきりしない、吐き気やひどい頭痛があるような時にはCTをとったほうが良いでしょう。

高齢者では、頭蓋骨と脳の間に、徐々に血がたまる慢性硬膜下血腫が心配です。頭をぶつけたのか分からないような軽いけがでも、1カ月ぐらい後に血が溜まって、頭痛や手足の麻痺、認知症などを引き起こします。お年寄りは、けがの程度が軽くても、CTをとったほうがよいことがあります。

一方で、お子さんの場合では事情が違います。
お子さんが頭をぶつけた時、頭の中の様子をCTで確認をしたくなる気持ちはとても理解ができます。
しかし、CTはエックス線を利用しているので、お子さんではなおのこと、放射線被曝に気を使わなければいけません。撮影方法によって、被ばく量を少なくする工夫をしていますが、できれば不要な検査は避けたいですね。
意識を失った、吐いている、普段と様子が違うなど、CTをとるべき基準がありますので、それに従っていただくのが良いでしょう。

大人も子供も、頭をぶつけたというだけで、CTをとることはお勧めできません。
主治医の先生に、CTをとるべき状態なのかご相談ください。

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