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子宮頸がんワクチンについて

2022年5月12日放送2022年5月19日放送

2022年5月12日放送

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2022年5月19日放送

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2022年5月12日放送(放送内容 資料はこちら

がんの原因は遺伝や環境因子などたくさんありますが、ウイルス感染もがんの原因になることがわかっています。子宮のがんのうち、子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルスの感染が原因です。

新型コロナウイルスの蔓延でウイルスやワクチンについてたくさんの報道がありましたが、ヒトパピローマウイルスにもワクチンがあり、多くの国で子宮頸がんになる人の数を減らすことに大いに役立っています。例えばスウェーデンの167万人規模の調査では、10歳から16歳にワクチンを打った場合、進行したがんになる人数が88%減り、17歳以降に打った人でも53%減りました。

日本でも、新潟でワクチンを打った1454人について追跡した報告によると、接種した場合のウイルス感染率は0.1%で、摂取していない人の2.2%と比較すると90%以上の有効率があったというデータが出ています。ただし、日本では接種率がずっと1%以下だったので、実際には進行したがんは減少しておらず、未だに年間1万人ががんになり、約2800人が命を失っています。この数字は年々増えており、80~90%のワクチン接種率で子宮頸がんを撲滅しつつあるオーストラリアやイギリス、フィンランドなどと比べるとその違いは歴然としています。

世界保健機構(WHO)が2020年に提唱した予測では、2030年を目途に「15歳までのHPVワクチンの接種率」が90%になり、「子宮頸がん検診の受診率」が70%になり、「子宮頸がんが治癒する確率」が90%になれば、2070年以降に子宮頸がんは根絶できるだろうとされています。欧米ではこの条件は現実的で実現可能な目標ですが、日本では現在、接種率1%検診受診率40%であり、今のままでは子宮頸がんの根絶は相当難しい状況です。

2022年5月19日放送(放送内容 資料はこちら

日本でも2013年から、小学6年から高校1年相当の女子にワクチンを無料で接種できることになりましたが、ワクチンによる副作用が強調され「子宮頸がんワクチンを打つと動けなくなる、体中が痛くなるなどのひどい副作用がおこる」といったイメージが流布してしまいました。これに対して国は「接種の推奨を差し控える」という方針としたため、この時期に無償接種の対象だった人の大半が接種を受けられていません。

この差し控えで接種を逃した1997年度から2005年度生まれの女性に、救済措置として3年間無償接種対象にするとの方針が、今年はじめに決まりました。現在17歳から25歳の女性が対象になります。
2回だけ接種して3回目をやらなかった、という人も対象になりますので、ご自身やご家族が救済措置の対象になっているかどうか確認しましょう。

子宮頸がんワクチンにも副作用はありますが、その確率は100万人に1人くらいだと考えられています。現在、ワクチンによる副作用に苦しんでいる人がいることも事実ですから、副作用を否定するのは正しくありません。
非常に有効なワクチンではありますが、確率は低いが副作用が出るかもしれないことを納得した上で、接種するかを考えるべきです。

子宮頸がんになる確率は73人に1人くらいで、結果として年に2800人の命が失われ1万人が子宮摘出などの子宮頸がん治療をしています。接種を差し控えた世代でも、妊娠時の初期検査で軽度の子宮頸がん病変が見つかった人もいます。これを減らす可能性があるのが子宮頸がんワクチンです。打つかどうかの選択には小学生ではやや早いかもしれません。中学生になったら親子でよく話し合って接種するかどうかを決めるのが一番良いでしょう。

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