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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

不妊治療における保険適応について 体外受精編/保険適応における体外受精治療法のバリエーション

2022年11月24日放送2022年12月1日放送

2022年11月24日放送

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2022年12月1日放送

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不妊治療における保険適応について 体外受精編(放送内容 資料はこちら

2020年の一年間の出生数は、約84万人、そのうち体外受精の治療の結果生まれてきた赤ちゃんは6万381人、実に13~14人に一人の割合です。そして今年の4月から、菅前総理大臣の政策により体外受精の保険適応が始まりました。一般に高額治療だった体外受精が、保険による3割負担で身近な治療となってきました。

この治療は誰でも保険で受けられるのでしょうか。
まず年齢制限があります。43歳未満の方が対象となります。従来の助成金制度と異なり、治療の回数も採卵ではなく、胚移植の回数が適応となります。採卵しても胚移植が出来なかったらカウントされません。40歳未満なら6回、40歳以上、43歳未満なら3回まで保険で移植可能です。また妊娠出産されたら回数がリセットされます。

では、体外受精とはどんな治療でしょうか?
簡単に言いますと、月経がはじまって3日目くらいから、卵胞という小さい卵子の入った袋を薬を使って成長させます。そのことを排卵誘発といいます。
卵胞が大きく育ったら、卵子を成熟させる薬を使って、実際卵子を取り出します。これを採卵といいます。
卵子が獲得出来たら夫の精子を合わせて授精させます。精子の状態によって、振りかけて自然に授精させる方法が体外受精、1匹の精子を人為的に卵子に入れて授精させるのが顕微授精といいます。

受精後卵が育って、それを最終的に子宮に戻します。これが胚移植です。その結果妊娠へと導きます。この一連の治療法を一般に体外受精と呼びます。それぞれに細かく保険適応が設定されています。
次回は、具体的な体外受精の方法と保険に合わせたお話をいたします。

保険適応における体外受精治療法のバリエーション(放送内容 資料はこちら

前回、体外受精とはどんな治療をするのか、全体の流れをお話しました。今回は保険適応に併せて、具体的にどんな治療法があるのか紹介いたします。

治療法として一番バリエーションがあるのが排卵誘発法です。小さい卵子の入った袋、卵胞といいますが、それを薬で成長させる方法です。

自然に出てくるホルモンをコントロールして、注射を多用してたくさんの卵子を得る方法が、高刺激法といわれます。30代前半の卵巣機能の良い患者さんに適応されることが多いです。
一般的には卵子と精子を合わせて授精させ、いったん受精卵を凍結して、次周期以降、子宮に移植します。
高刺激法は副作用で卵巣が腫れたりすることもありますが、薬剤で排卵をコントロールしやすく、採卵日を設定しやすいため、診察回数も少なくて済むので保険適応としては比較的やりやすい治療です。

それに対して、自分が出すホルモンを利用して卵胞を育てて採卵させる方法が、低刺激法です。
内服薬を使用して、必要に応じて注射等併用します。低刺激法は卵巣機能が低下してくる30代後半から40代の患者さんに適応されます。
自然に成長してくる卵胞の発育をこまめにみる必要がある為、保険の診察回数の制限などがネックになる場合もありますが、工夫することにより保険内での治療も可能であると考えます。保険では基本採卵周期の診察回数、ホルモン採血の回数制限があるため、ある程度治療ガイドラインに沿った動きをする患者さんに限定されます。

患者さんの卵巣機能、薬の反応はまちまちです。それぞれに合わせた治療法を選んで体外受精をします。採卵、移植に関しては、どの方法も保険で通常適応可能です。それぞれの治療は保険点数で治療費が設定されていますが、用いる薬剤、注射等も保険適応となり患者さんの負担は随分と軽くなったのではないかと思います。
ご自身がどのような治療法があっているか、相談されるといいと思います。

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