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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

下肢静脈瘤について/下肢静脈瘤の治療について

2022年12月8日放送2022年12月15日放送

2022年12月8日放送

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2022年12月15日放送

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下肢静脈瘤について(放送内容 資料はこちら

下肢静脈瘤は、足にできる血管の(こぶ)のことです。女性に多く、4人に1人の割合であると言われているよくある病気です。静脈瘤のタイプは、クモの巣状の細いタイプから、へびのように浮き出ているタイプまでさまざまです。

下肢静脈瘤は、足の中でも特に膝の下、ふくらはぎの内側にできやすく、ひどい場合は太ももにも広がることがあります。原因は、足の太ももや、ひざの裏にある伏在静脈(表面からは見えません)の逆流です。長年立ち仕事をしていたり、妊娠や出産で静脈に圧力がかかり、静脈にある逆流防止弁が壊れると症状が出てきます。

血管が浮き出るという見た目だけの問題から、足がつる、だるい、つかれやすい、足がむくむなどの症状があります。ひどくなると皮膚炎が起きて、皮膚のかゆみや色が黒ずんできたり、潰瘍ができて出血することもあります。浮き出ている血管が炎症を起こして痛くなったり腫れることもあります。しかし、足がしびれたり、歩けなくなってしまうことはありません。

下肢静脈瘤は命に関わるような悪い病気ではありません。よく静脈瘤を放置していると血のかたまり(血栓)ができやすいとか、エコノミークラス症候群(肺に血栓が飛び血管が詰まって呼吸困難になる病気)になりやすいと言われていますが、それほど起きる確率は高くありません。高齢になるまで無症状の方は多くいます。無症状の方は緊急で治療することはありません。

足の症状があれば、治療を考えます。無症状であっても、足の血管が気になるなど、見た目の問題でも治療して良いと思います。ただし、静脈エコー検査で伏在静脈の逆流があるか、大きな病気を持っていないかを確認したうえで、治療を決めます。

下肢静脈瘤の治療について(放送内容 資料はこちら

静脈瘤の治療法は、いろいろあります。足にできている血管の(こぶ)を取ったり、固めたりする治療だけ行うこともありますが、根本的な治療になりません。逆流を起こしている足の静脈(伏在静脈)を治療することで治ります。
また、クモの巣状の細いタイプは病気ではないため、治療を行わないのが一般的です。

まずは足の静脈エコー検査を行います。検査の体への負担は少なく15分程度です。検査結果で治療法が決まります。
以前は、伏在静脈を抜き取る手術(ストリッピング)が主流でしたが、現在は血管内焼灼術(レーザー、ラジオ波)が主流になっています。最近では医療用に認可された瞬間接着剤を静脈内に注入して血管を閉じる、血管内塞栓術も行われるようになってきています。

治療方針は検査結果を踏まえ、主治医の先生と相談して決めます。一般的には血管内焼灼術が標準治療ですが、病状によっては静脈瘤だけを薬で固める硬化療法やストリッピング手術になることがあります。手術を希望されない場合は弾性ストッキングによる保存的治療もあります。

血管内焼灼術は切ったりすることがなく、カテーテルによる治療のため傷が残りません。また局所麻酔の手術のため、入院が不要です。血管内を焼いた後、残った静脈瘤を切除して終了します。場合によっては、後日残った静脈瘤を硬化療法で治療をすることもあります。

術後、痛みは軽度で、ご自宅に歩いて帰っていただき、当日から日常生活が送れます。また再発も合併症も少なく、安全な治療と言われています。ただ術後は血栓症予防ため、弾性ストッキングという厚手の靴下を数日履いていただく必要があります。また術後検査のため数回受診が必要です。
検査、治療は静脈瘤の専門医の診察を受けて相談することをお勧めします。

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