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ラジオ番組 みんなの健康ラジオ

血便・下部消化管出血

2023年3月16日放送2023年3月23日放送

2023年3月16日放送

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2023年3月23日放送

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2023年3月16日放送(放送内容 資料はこちら

血便についてお話しします。
胃や十二指腸からの出血では、血液は胃酸の影響受けることにより黒色のタール便となります。これらの上部消化管からの出血ではなく、主に大腸を中心とした下部消化管からの出血についてお話しいたします。

どんな血便があるのでしょうか?
大腸でも出血する部位によって血液の現れ方が異なります。

暗赤色便
(濃いレンガ色のような便)
これは大腸の奥である回腸や盲腸からの出血で、消化液と混ざり合うことでレンガ色になります。
粘血便 ドロッとしたゼリー状の血液が付着した便です。イチゴジャムのような便が出たと言う患者さんもいます。
鮮血便 真っ赤な血液が便にまじったり、拭いた紙に赤い血が付着したり、便器が赤くなったりします。肛門の近くでの出血を意味しています。

明らかな血便を起こす病気にはどんなものがあるのでしょうか?
比較的多い順に挙げると、①痔を代表する肛門疾患、②虚血性大腸炎、③進行大腸がん、④潰瘍性大腸炎やクローン病などの非特異性炎症、⑤大腸ポリープ(これには腺腫や早期がんを含みます)、⑥結腸憩室出血、その他にも多くの種類があります。

血便が出たら直ちに医療機関を受診しましょう。その際に、何時からという発症時期・出血の色や性状・その量や回数・痛みや熱があるのか・服用している薬の情報などを詳しく教えてください。このような病状聴取により、出血の原因となる疾患の大体の推測が可能となり治療方針決定のための重要な手がかりとなります。

2023年3月23日放送(放送内容 資料はこちら

出血の原因となる主な病気について述べていきます。

①大腸がん

大きいほど出血量も多くなり出血の頻度も高くなります。便潜血による検診で見つかる場合もありますが、明らかな血便があるものは進行がんの可能性が高くなります。大腸がんは早期発見・早期治療で完治する可能性が高いので、少しでも兆候がある場合は内視鏡検査を受けましょう。

②炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)

15~30才頃の若い年代の方に多い病気です。一日に何回もの下痢を伴う粘液のような血便が出ます。

③痔

痔核とは排便時の息みなどで肛門の血管とその周囲の組織が膨らんだものです。また(切れ痔)は硬い便などで肛門の粘膜が傷ついた状態です。

④虚血性大腸炎

突然の腹痛と下痢それに続く血便が典型的な症状です。腸の血流障害によって起こるもので、60歳前後の女性に多いです。下行結腸からS状結腸が好発部位です。

⑤憩室出血

大量の出血で、血圧が低下して、冷や汗や立ちくらみが出現します。痛みがないのが特徴です。

⑥大腸ポリープ

膨らんでいぼ状に見える粘膜のことです。すべてのポリープががん化するものではありませんが、腫瘍性ポリープはがん化する可能性があります。

⑦感染性腸炎

細菌感染で腸壁に強い炎症を引き起こして出血を生じます。

検査として、すぐできる直腸診。血液検査、レントゲン検査。腹部エコーやCT検査では緊急性の判断の助けになります。内視鏡検査では大腸粘膜を直接確認でき確定診断を行える方法です。その他、便細菌培養検査などがあります。これらの検査結果をもとにして診断が可能となり、適切な治療が実施されます。

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