ラジオ番組 みんなの健康ラジオ
口腔がんについて(放送内容 資料はこちら)
口腔がんとは、口の中にできた悪性腫瘍、がんの事です。口腔の範囲は口唇から扁桃腺の手前までの範囲です。
口腔がんには、口唇にできる口唇がん、舌にできる舌がん、歯茎にできる歯肉がん、頬の内側の粘膜にできる頬粘膜がん、舌の裏にできる口腔低がん、上顎にできる口蓋がんがあります。口腔がんのうち、最も多いのは舌がんです。
口の機能は、食べ物を嚥下しやすい形に細かくする咀嚼、咀嚼した食べ物をのどの奥に送り込む嚥下、声を出すときに言葉を形作る構音、そして味を感じる味覚などがあります。
口の中は感覚が敏感なため、口腔がんの症状として痛みがあります。
食べ物や飲み物がしみるわけです。また歯ブラシや硬いものが刺激となって出血したり、治りにくい口内炎ができたり、痛みのないできものができたりすることも多いです。それ以外には、呂律が回りにくい、噛み合わせが変化する、舌や頬の粘膜を噛んでしまう、などがあります。
口腔がんの原因として慢性的な炎症があります。口腔内の衛生状態が悪く虫歯が多いことや、歯並びが悪いため常に歯がぶつかっていることなどが影響します。喫煙や飲酒も原因となります。それ以外には、加齢やお薬、ストレスによる免疫力の低下や、ある種のウイルス感染も原因となります。
がんの検査には、大きく3つの評価項目があります。原発巣、首のリンパ節、遠隔転移です。見て触り、組織を取って病理検査を行い、CTやMRI、PETなどの画像検査でステージを決めます。重複がんの検査も必要になります。
口腔がんの治療は、がんのできた場所や進み具合によって異なりますが、基本的には手術で摘出できる場合は手術します。進行した口腔がんの場合、手術の後に放射線治療を追加して治療効果を上げることがあります。
また口腔の咀嚼や構音の機能は非常に緻密な動作であることから、口腔の機能を守ることも重要です。
強力な抗がん剤を併用する放射線治療を先に行うこともあります。
2023年4月6日放送(放送内容 資料はこちら)
口腔がんは、口の中にできるがんの事でした。耳鼻咽喉科が扱う領域は、耳、鼻、のどだけではなく、脳の下部から鎖骨の上までの範囲のうち、眼球を除いた範囲ですので、お口も入ります。
それでは歯科と耳鼻咽喉科との違いは何かというと、虫歯や歯茎、あごの関節は歯科が専門ですが、それ以外のお口のトラブルは耳鼻咽喉科でも大丈夫です。口腔外科という診療科があり、口腔がんを扱うこともあります。
口腔がんかもしれないとき、耳鼻咽喉科と歯科とどちらが良いかというと、最初に行くのはどちらでもいいので、早く病気を診てもらうことの方が大事です。
その後の流れとして3つのパターンがあります。
大きな病院で診てもらった方が良いと言われた場合、紹介状を書いてもらいすぐ大きな病院へ行ってください。
次にたぶん大丈夫だが経過観察が必要です、と言われた場合、必ず指示された時期に再度受診してください。もし症状が悪化した場合は、早めに受診しても構いません。
最後に、これは大丈夫ですと言われた場合、それで納得できればそのままで構いませんが、納得できなければ他の病院へ行きましょう。病院を選ぶ権利は患者さんにあります。
口腔がんに限らず、治療方針を決める際には、ご本人やご家族も含めてみんなで一緒に納得できるまで話し合って決めることが大切です。
早期の段階であれば手術で摘出します。この場合、耳鼻咽喉科でも口腔外科でもどちらでも良いでしょう。進行した場合は、首のリンパ節へ転移している可能性を考えると、頸部郭清という手術が必要になることから、耳鼻咽喉科が良いでしょう。
またお口の機能は精密であり手術で大きく切除すると、食べたりしゃべったりするのが不自由になります。形成外科に欠損した組織を補うように依頼したり、手術の前に放射線治療や抗がん剤によって臓器を温存したりする方法があります。
進行する前の早期の段階で、治療することが重要となります。
治りにくい口内炎があるときは、早期の口腔がんかもしれませんので、ためらわずにお近くの耳鼻咽喉科か歯科を受診してください。